仕入れと懸念
「………種や苗…ねぇ…ふぅむ…どうしたものやら…」
「…やっぱりこんな世の中じゃあ、グラーシャでも入手は難しいか?」
庁舎入り口にてグラーシャにアポを取ろうとしたが、すぐに執務室に通され彼女に熱烈なハグを受けたあとにこの悩ましい顔を見せられては、やはりこんな荒廃した世界じゃあ食料は貴重なんだと思い知らされた…
「いや、入手は比較的容易だがそれに伴う被害をどうしたものかと悩ましくてね…」
いや手に入るんかい!…じゃなくて!
「被害とは?生命がかかってるとなれば慎重に成らざるをえないが…」
「それも問題はないさ…ただユウタの身柄がどうなるか…」
?俺の身柄?…こんなフツメン男子に人質の価値なんて無いと思うが…
「ここで私が入手の宛を紹介したとしよう…10中20でユウタは奴等に貪られてしまう…そんな事態は私の中ではいかんともしがたくて、ね…」
……なるほど、考えてみればこんな世の中貴重品入手出来る人物は荒事に強い人間で、そういう手合はデザ女性、だから俺が美味しく頂かれると…やっぱりとんでもねぇ世の中だ…
「あー…グラーシャ、その問題に関しては俺の方で何とかするから宛を教えてくれないか?頼むよ…」
俺は彼女の対面から隣に座り、そう言うとグラーシャの左手が俺の右手を速攻で握りざまに教えてくれた。
「先日治療所で一緒にいただろう?エイブラムスの小娘さ、昔から
…とことんデザの女性は肉食動物だなぁ…
「まぁ、比較的穏当な場合でも娘の方とシッポリしなきゃならんのは間違いないぞ?」
「あー…うん…エイミーとねぇ…」
あの騒がしトリオのリーダーと懇ろになるか…考えてみれば遅かれ早かれな気がするが…
「グラーシャありがとう、ひとまずエイミーとコンタクトしてみるよ…ってちょっと?」
グラーシャにそう言うが早いか座っていたソファに押し倒されてしまった。
「フフフ、油断大敵といったところかな?いけないよユウタ…二人きりなのに別の女の話をしてしまうのは……これはしっかりと君は私の物だということを刻み込まなければなるまいねぇ…?」
俺はいつの間にかグラーシャの所有物になったらしいが、それならば全力で期待に答えて差し上げなければならないな。
「ああ君たち、工場長は少しやすんでいるが寝かしてあげてくれ、死ぬほど疲れているからね」
「「は、はいぃ!」」
俺は執務室の扉前で歩哨していた兵士にそう伝え、庁舎を後にした。
彼女達の顔は真っ赤だったが、執務室からケモノのような声が時々響いていた事と関係は無いと思いたい…
「さて、とりあえずストレイ・キャッツでホープと合流するか」
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