再び街へ

「しかし、昨夜は随分お楽しみだったようだね?……おかげで余り寝れなかったんだけどねぇ?」


「ははは…それは悪かった…」



 ユウヒ及びオルヌによるを受け取り、少しばかり仮眠したあとホープに頼んで再びジャンクヒルズへと俺は向かっていた。


 畑は用意できたがそこに撒く種や植える苗が無くては何も始まらない、その為に仕入れをしなくてはならなかった。

 市場に行けば必ずあるというわけではないが、無ければまたグラーシャやエイミー辺りの伝を頼るしかないだろう…



「それにしても、ユウタ君はノマなのに随分体力があるんだねぇ?デザ、しかも上位の2人を相手してケロッとしてるんだから。」



 サイドカーを運転し続けているホープにふとそんな事を言われた。



「…確かにそうなんだよな、俺自身変わったという感じはないんだけど、ふとした瞬間に以前とは違うんだっていう事を色々実感することが多々あるんだ…まぁ今の所デメリットは無いんだけどな。」



 むしろ身体能力が向上したおかげで、工場ではあのデカ物を倒す協力ができたし戦闘力が高い人物に相対しても委縮することなく話すことができる……あとはまあ夜の戦闘力向上も助かってはいるが…



「それならよかったけど、ただもし何か悪い方の変化を感じたらすぐ周りの人に話してくれ、デザでも自身の能力のせいで死んだなんて聞かない話ではないからね…」


「心配してくれてありがとう、その時は相談させてもらうとするよ。」



 その後はお互いとりとめのない話をしながら町へ移動をしていると、何やらホープが手元をいじったりして確かめるような動作を始めた。


「なあホープ?どうかしたのか?」


「う~ん、どうやらサイドカーコイツの調子が悪くなったみたいだね…」


「えっ!?大丈夫なのか?」


「ちょっと寄り道して診てみよう、少しルートを外れるけど近くにいいところがあるんだ。」


「わかった、任せるよ。」


 そういうとホープはハンドルを切り、崩れた建物の間を走り億狭まったところに残っていた建物の前にバイクを止めた。



「ここは…?」


「よっと、ようこそユウタ君我々の秘密基地へってね。」



 ホープはそう言いながらボロボロなシャッターを引き上げた、見た目に反してスムーズに動作したシャッターの奥にはところどころ補修がされたガレージと補修に必要な工具が並んだ棚、そして奥にはボロいがベッドも備え付けてあった、仮眠所といったところだろうか。



「確かに秘密基地って感じだな」


「そうでしょう、まあといってもここでできるのは簡単な修理だけでね、それでもこういったセーフティーポイントがあるのとないのとじゃあ僕らバイク乗りは生存率がかなり違ってくるからね、ここジャンクヒルズ周辺にも数か所同じような場所が隠されてて、バイク乗りにしか分からないようになっているんだ。」


「へぇーなるほどねぇ…」



 俺は周りを見渡してみたところ、置いてある機械や部品はバイク関係のものしか見当たらなかった、これなら歩兵や戦車乗りには何の役に立たないから盗っていく意味もないしせいぜいベッドを勝手に使われる程度に収まる、仮にかっぱらっていっても売り先は当然バイク関係の所、犯人はすぐに分かるということか…



「さて、ちょっと不具合を見てみるからユウタ君は休んでてくれないか?」


「んっ?修理くらい俺のほうでパパっとやっておくからホープのほうこそ求刑してくれてていいぞ?」


「……そう、それならお願いするよ……」


「あいよ、では〚解析〛…んっ?」


〚サイドカー 固有値 95 / 100  

 状況  ・細部部品摩耗あり 

     ・要オイル交換、通常使用問題なし

     ・車検有効期限487年超過 更新の要あり〛


「いや車検って…そりゃあそうだけど今さらだろ……」



 なんかこの前の矢印表示といいナノマシンがユーモアあふれる感じに進化していってないか?…というより作成者であろう咲に似てきてないか?



「それは置いておいて…故障とかはなさそうだがなぁ?」


「…ユウタ君どうかな?」


「なあホープ、どこも調子悪くなさそうだがどのあたりが悪く感じたんだ?」


「そうだねぇ…アクセルを回そうとすると動かないんだよ、ほら…ね…」



 そう言いながら彼女は俺の手をアクセルを握った手へ導き触らせてもらったが、これ全然力入れてないじゃないか…本人が回さなければどうしようもない……まて、これってもしかして……



「ねぇユウタ君…?これはしっかりをしないとじゃないかなぁ…?ほら…よく触ってしっかり見てくれ…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る