農家への第一歩
あの後すぐに街へ来たルートを逆へたどって農場へ戻ってきた俺たちは作業に取り掛かる前にこれからのことを話そうと段取りをとるために休憩をしていた。
「さて、俺の作業が終わればきれいな水は確保できるようになるから、それからのことなんだが…」
「私は農業するわよ、汚染さえ取り除けたら作物育成なんてより取り見取りだし、成長促進剤とかもあるから。」
「ほう?それはすごいな…で?育てるための種とか苗はあるの?」
「………無いわよ……しかたないじゃない!こんなに早く問題が解決するなんて思わないわよ!」
「
とりあえずやることは決まったな。
「よし、じゃあやることとしては、1,俺がフィルターや配管周りの作業をする、2,ユウヒとオルヌは農地の汚染対処をする、3、その間俺が種等を仕入する
こんなところだと思うんだがどうかな?」
「そうね、汚染対処って言ったってひたすら土の上から水流せれば抜けていくし、問題ないと思うわ。」
「えっ?ひょっとして仕入れってユウ兄だけで行くの?」
「ああ、それもあってホープに来てもらったという面もある。」
「ふふっ、なら僕の愛車はうってつけだね、スピード出せるからここからジャンクヒルズならすぐに往復できるよ。」
あのバイク改造してそうだもんなぁ……道交法も今は昔だろうし…
「とりあえず、フィルター替えた後は畑までの配管を設置する作業を行うことにする、水が大量にいるけどフィルター正規品ならかなり持つし、また調子悪くなったら俺が対処するよ。」
「………」
「じゃあさユウ兄、その間私たちは畑掃除に行ってくるよ、生ゴミ埋めちゃってたしね」
「僕はもちろんユウタ君の助手として「お前はこっちだよ!キリキリ働いてもらうからな!」ちょ?!引っ張らないで!ああ~せっかくユウタ君との共同作業がぁ~」
ホープは俺と作業したがってたようだが、残念ながら解析しながらやるからあまり手伝ってもらうことないんだよなぁ…
「フィルター交換終わった?なら配管伸ばす場所の指示するからこっち来てちょうだい。」
「了解、農地の真ん中くらいに出口がある感じでいいのか?」
「ええ、そのほうが作業が楽だから頼むわ。」
確かにここからわざわざ水を運んでいくのも面倒だな、ただ取水装置の近くにも出口があったほうが何かと使えるだろう。
こういう作業は昔から嫌いじゃなかったんだよなぁ…のんびりマイペースでやっていいならこれからも作業員的な立場でここに居たいんだが、ユウヒはどう思うんだろう?
つらつらとそんなことを考えながらも作業はつつがなく終了し、引いたパイプから水を大量に農地へばら撒き汚染を抜く作業へと移った、後撒いた水が周りに広がり過ぎない様に加減しながら待てばいいらしい。
「ふぅ~、やっぱり頭からお湯を被るとさっぱりするな。」
日が沈み夜空に星が綺麗に見える様になった頃、俺は取水装置の近くに作った水浴び場で入浴をしていた、日本人としてはやっぱり湯船に浸かりたいという気持ちがあったのでユウヒ達に断って作ったのだった、お湯も太陽熱を利用して温かくなる様に細工してだが用意できた。
「しかし、文明崩壊したらこんなに夜空が綺麗になるのか…」
のんびり湯船に浸かりながら満点の星空を眺めていた。
「お風呂なんて大金持ちでもやらない贅沢よ、今の時代はね。」
「えっ?」
後ろを向くとユウヒが立っていた…服も何も着ずにだが。
「ちょっ!何してるんだよ!」
「何よ?こんな贅沢独り占めなんてさせないわよ、ほらちょっと避けなさい。」
そう言って俺の背中側へヌルリと入り込んできた。
背中に大変柔気持ちいい感触が……じゃなくて!
「どっ、どうしたんだよいきなり!?」
その問いかけには答えず、ユウヒは俺を後ろから抱きしめてきた、さらに背中の感触が強くなった。
「うわっはっ!本当にどうした…「貴方はこれからどうするの?」…えっ?」
「取水装置治して…農地も使えるようにしてくれた…それが終わったら街に行くの?そうしたらアグラーヤと暮らす?それともあのお嬢様と?……」
「……ユウヒ……」
不安なのだろう…前に回した腕が少しだが震えている…彼女にとっては重要なことだ…だから俺もしっかりと答えなくてはならない。
「なあユウヒ、考えてたことがあるんだ、聞いてくれないか?」
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