色んな花達(集結中)

 参ったな…こんなことならさっきそのまま一緒に店に向かうんだった…とりあえず市場の方へ向かってみよう。


 俺は待ち合わせ場所のストレイ・キャッツを探すべく歩き出した、そこら辺を歩いている人にでも聞けば分かるだろうと考えていたが…



「あの、すみませんがちょっといいですか?」



「あん?…!あっちょっちょっと急いでるんで…」



「…あの道を聞きたいんですが」



「ひっ!わ、分かりません!ごめんなさい!」



「………あの…」



「うわぁ!勘弁してくれ!ヒィィ!」



 歩いている人に対して話しかけるも、物の見事に避けられてしまった…


 さっき話しかけたおっさんなんぞ俺が強盗みたいな感じで逃げていかれたし、一体何なんだ?



「はぁ~、このまま宛もなく歩き回るのもなぁ…ん?あの人…」



 ふと見ると、道の脇にサイドカーが付いたバイクが停まっていた。

 持ち主らしき女性がこちらに背を向けて何やらブツブツ独り言をいいながらバイクを弄っていた。


 手が離せなさそうだが仕方ないな…



「何やらお困りですか?」



「あん?何だ…い…!?!?」



 話しかけて振り返った彼女は勢いよく立ち上がりながらこちらを向いた。



「男?!ど、どうした?何か用かな?」



 振り向いて拝見した顔はキリッとしたボーイッシュショートヘアのこれまたデザの美人さんだった。



「道端でバイクを弄っていたので、どうかしたのかなと…」



「あ、ああ…そうなんだよ、ちょっとエンジンの調子が悪くてね…だましだまし動かしてたんだけどついさっき停まってしまってね、ちょっと見てみようとしてた所さ。」



 機械相手ならこちらの独壇場だ、直したらついでに連れていってもらおう!



「なら修理にはちょっと自信あるので見せてもらえませんか?その代わり直ったら連れていってもらいたい所があるんですが…」



「ホント?ありがたいよ!サイドカーコイツが動いたら何処までも乗せて行ってあげるさ!」


















「ここがストレイ・キャッツだよ。」



あの後すぐさま〖解析〗と〖修理〗でサイドカーを新品同様にした俺は、持ち主の彼女、ホープ・キッドに案内してもらって待ち合わせであるストレイ・キャッツに着くことが出来た。

見た目はウエスタン映画に出てきそうな酒場という風情であり、入り口はスイングドアとこれまたいかにもな感じではある。

…いきなり銃撃戦始まっても不思議じゃない雰囲気なのは気のせいか?



「ちょっと待ってて、君みたいな子がいきなり入ると声かけられて拉致されるから一緒に入ろう!……きょ、今日遂に…念願の…」



最後の方が小さくて聞こえなかったが、まあ 彼女の名前 がそう言うなら一緒に入るとしよう…

入ってみると、結構客が入っていて各々テーブルごと談笑したり飲み物をを飲んだり昼食を食べたりしていた。

店内に一通り目を配っても、まだ誰も来てないようだった。



「さあこっちに来て!まずは一杯頼んで…」



「ああ、すまないがツレが来るんでちょっと奥の方が都合がいいんだ、あっちの方にいこう。」



俺は店の奥の方にある広めのテーブルを指差してホープを誘導し、カウンターへ向かった。



「……見ねぇ顔だが、デザの情夫イロか?連れ込みならここはやってねえよ、ヨソ当たりな。」



いぶし銀という言葉が似合う酒場のマスターにそう言われてしまった。

…何でデザの女性関係者にみんな当たり強めなんだ?



「そういうのはもう溢れるくらい間に合ってるんだよ、グラスを7つ後で2つ追加で貰うよ。」



「……持ち込みはダメだ。」



俺は黙って懐から出した物をマスターに見せた。



「上手くいったらコイツを卸す算段してるんだが、ちょっとだけ目溢ししてくんないかな?」



マスターはちらりとこちらの手元をを見て、お盆の上にグラスを出してくれた。



「ありがとう、あと軽く摘まめるものを見繕って出してくれ。」



マスターにカードを渡してそう伝え、そのままお盆を持ってテーブルに向かった。


「…ちょっと聞きたいんだけど…君のツレって…」


「ん?ああ、もう少しで来るはず…」



「おーい!ユウタさん来たぜ!」

「待たせちゃってごめんなさいねぇ!」




「ユウタさん!お待たせしましたわ!」

「お嬢の準備最速で終わらせてきたっす!」

「これこそ欲望の賜物…そこに痺れる憧れる…」



「「「「「……えっ?」」」」」



ちょうど来たようだから先に話しておくとしようか。



「良かった、来てくれたところで話をするからこっちに来てくれないか?なぁに、君達に損はさせないからさ。」

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