責任者との会談

「ようこそジャンク・ヒルズへ。私はこの街で責任者をしているアグラーヤという者だ。そこの極悪コンビと連れ立って来たという殿方がいると報告を受けて、どんな命知らずだと思っていたがなかなかどうして、イイ男じゃぁないさ。」



「過分なリップサービスをどうも、枚岡雄太です。こっちの言い方だとユウタヒラオカになるのか…この街は不慣れですので無作法はご容赦下さい。」



あの後やたらブツブツ言っていた隊長に案内され、門のすぐ近くにある大き目の建物に案内され一番上の階にある広い部屋に通された。そこにはデザと思われる美人さんがソファに座って待っていた。

進められるままソファに座った俺達三人に対してにこやかに話しかけてきたが、その左頬から右こめかみにかけてついている大きな傷跡が凄みというかマフィアのボスそのままのイメージを俺に与えていた。



「ほうほう、男で名持ちとはまた珍しい…フフフ、二人は一体どこから見つけてきたんだろうな……」



なんだろう、悪印象では無さそうだがなんで俺は目覚めてからこうも美人と縁があるのだろう?……別に嫌ではないがね。



「キシシシシ、いいだろ♪でもあんたにゃあげないからな!」



「……で、話は終わった?なら私達買い物あるから行くわよ。」



オルヌが自慢気にそう言い、ユウヒが話を終わらせ立ち上がろうとした。



「待て、彼はともかく貴様ら二人は軽々しく出歩けると思っているのか?ああヒラオカ君は別な意味で出歩かせる訳にはいかないからそのつもりでね。」



俺と二人で態度がまるで違うのはやらかし具合の所為だなと考えるまでもなく分かった。



「門の所でもそうだったけど、本当に二人は何をやったんだ?」



「言ったでしょ、ちょっとぶん殴っただけ…「ほう?探索組合でも大き目だった探索チーム主力三十人の首から上を肉片どころか血霧に変えて壊滅させたのをちょっとねぇ…」……フン!軟弱なノマの男の分際で軽々しく言い寄って来るからよ。」



ああ、髪の色とやった結果から【紅霧】ね……じゃあオルヌは火をつけたって言ってたのも…



「ついでに言うと、そこのもう一人は街の画一区画丸々能力の炎で焼き払いやがってね…そっちのと合わせて街の防衛体制がめちゃくちゃになって、あわや街が壊滅するかの瀬戸際まで追い込まれたんだよ………」



しかめっ面をした後二人を睨みつけながらそう言うアグラーヤだったが、ユウヒはどこ吹く風といった感じに、オルヌは相変わらずニヤニヤ笑いながらアグラーヤ達を見ていた。



「…まあ今後やらかさないと誓うなら出入りも物々しくすることは考えておいてやろう…ヒラオカ君はこの二人か私の手配した護衛と一緒ならいつでも街の区画なら出入り可能としよう、後はなにかあるかな?君の要望なら可能な限り聞くことにしよう。」



「あらそう?なら今日ここに泊まるから宿の手配しなさい。」


「あっ!私は久々に肉たっぷり食べたい!」


「貴様ら二人には聞いてない!そこらの路地裏にでも寝てろ!」



はぁぁ、もうアグラーヤの二人に対する印象は最悪を通り越してしまっているようだ…



……しかたがない、こちらの手札を切ってておくか。



「あー、アグラーヤさん?その二人の事ご容赦願えませんかね?一応俺の居候先で昨日から世話になってますんでね。」



「なに?こいつらの住んでいる所なんぞにいては寿命が永遠にあっても死んでしまうぞ?悪いことは言わない、この街で暮らしたらどうだ?何だったら私が世話してやろう。」



確かに荒野のど真ん中でたまに強盗も来るし、化け物もウロウロしているとなるとこの街で暮らすのが安全なのだろうけど……



「大変有り難いことですけど、ちょっと事情が有りましてね。どうでしょう?少しばかり協力していただければ、そちらにも益を提供出来るんですが、いかがでしょう?」

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