第5話「竜攘虎搏、龍虎と鬼龍」

一本杉 勇(いっぽんすぎ いさむ)

高1 16歳

正義感の強い明るいお調子者。

拳道越流師範代、龍虎の弟子。

秋光のことは親友だと思っている。


二宮 龍虎(りゅうこ)

拳道越流師範代。常に冷静で厳格。鬼龍とは兄弟弟子。

厳格な性格で勇を厳しく指導するが、本心ではかわいい弟子だと思っている。


三菱 秋光(みつびし あきみつ)

勇と同じ学校に通う文武両道の優等生。

誰にでも人当たりがいいので学校でかなりモテている。

だが裏の顔はフードで顔を隠し不良やヤクザを狩る武道家。

勇のことは鬼龍の弟子だと思い込んでいる。


鬼龍(きりゅう)

裏社会で恐れられている武闘家。

流派は拳道越流と自称している。

残忍で目的のためなら手段を択ばない極悪な性格だが、過去は勇同様正義感のある熱血漢だった。


勇♂:

秋光♂:

龍虎♂:

鬼龍♂:

ナレ不問:

5人

♂:4 不問:1


使用するSE

SE:殴り(大)

SE:ドサッ

SE:殴り(小)

SE:ポスッ


シーン0 サブタイトル

勇「鉄魂(てっこん) 第5話 「竜攘虎搏りゅうじょうこはく、龍虎と鬼龍」」


シーン1 決戦場

秋光「女と一緒にヌクヌクとトレーニングをしてるてめェとは覚悟が違うんだよ。一

生拳を握れないようにしてやる」


勇「スゥゥ……フゥ」


ナレ「大きく息を吸いこみ、静かに肺の中の空気をすべて吐き切る。

空手の呼吸法”息吹いぶき”で勇は息を整えた。

そして静かに、根を張った大樹のように構えをとる」


秋光(……変わった。いつものバカみてぇな雰囲気じゃねぇ……

まるで静かに獲物えものを狙う虎……)


ナレ「いつもと違うそのたたずまいに警戒心を高めると同時に、

秋光の心中には疑問が浮かんでいた。

自分が対峙たいじしたあの男とは全く違う、と」


勇「どうした秋光。こいよ」


秋光「でかい口叩きやがって」


ナレ「その疑問を消し飛ばすように地面を爆発させ前進。

そのまま連打を浴びせる秋光の拳はすべて空を切り、焦りからか大振り

のパンチを放った瞬間、体が宙に浮く。」


秋光(こいつ!回避とこの投げに全神経を……)


ナレ「片手を引き、両手に持ち替えた秋光の手を剣のように振り上げ

そのまま振り下ろす勇の四方投しほうなげに、秋光は受け身の選択肢を捨て」


秋光「チッ、クソ武術が!」


SE:殴り(大)

SE:殴り(大)


ナレ「憎まれ口と共に蹴りを放つ。お互いにカウンターが決まる形となり、

身体を地面にしたたかに打った秋光と、後頭部に蹴りを受けた勇は

互いにその場に突っ伏した。」


SE:ドサッ


勇「い、いでで……今のが師匠モードだ、まいったか!」


秋光「くっ……なにがまいったかだクソ野郎、てめぇもしっかりくらってるだろうが……」


勇「ま、まだまだ……」


ナレ「お互いに立ち上がり構えをとる。勇は秋光の動き”虚影きょえい”を真似し、右か、左か秋光に悟られないよう拳を放つ。が」


秋光「甘いんだよ!」


ナレ「勇の拳に合わせてカウンターを合わせた瞬間、秋光の眼前に星が散った」


SE:殴り(大)


秋光「ガハッ、これをねらってやがったのか……」


ナレ「カウンター前提の囮。勇の放った虚影は捨て駒だった」


勇「へ、へへ……まともにやってもちょっと勝てそうにないからな……」


ナレ「笑顔で構える勇に覚えた一抹いちまつの恐怖を、地面に赤色の混じったたんと共に吐き出す」


秋光(ペッ……こ、こいつ土壇場で俺の技を真似しようとしやがった……)


勇「はぁ……はぁ……」


秋光「オイクソ野郎、一つ聞かせろ……」


勇「なんだよ……」


秋光「お前の師匠は鬼龍きりゅうか?」


勇「いや……俺の師匠は龍虎師匠だ」


秋光(………そうか……)


ナレ「その時秋光は疑問の答えを理解した。が、もう関係はなかった」


秋光「うおおおおおお!」


勇「だああああああああ!」


ナレ「虚影、我流がりゅうで編み出したその技は、秋光にとっての自信の象徴。

が、勇は秋光の動きを見て声をあげる。」


勇「それを待ってたんだ!!!!」


ナレ「囮として出すはずだった秋光の拳をつかみ、わざと腹部に叩き込む。」


SE:殴り(小)


勇「じり正拳せいけん……!」


SE:殴り(大)


秋光「かっかは……」


ナレ「拳道越流けんどうえつ基礎技きそわざにして、勇の必殺の一撃、捻じり正拳が秋光の頬に叩きこまれ、秋光は衝撃で意識を手放し大の字に倒れる」


SE:ドサ


秋光「……」


勇「はぁっ……はぁっ……も、もう無理……」


SE:ポスッ


龍虎「うむ、いい試合だった。最後の技もよかったぞ。少し武道家がなんたるかがわかったみたいだな」


勇「し、師匠……はは、みてたのかよ」


龍虎「話はあとだ。お前と秋光くんを道場まで運ぼう」


勇「じゃ……あとよろしく師匠……グゥ」



シーン2 道場

秋光「ハッ……」


飛び起きるとそこは道場。静かに龍虎が奥で構えているのを見る秋光


龍虎「お、起きたようだな。秋光くん」


秋光「てめぇが一本杉の師匠か……」


龍虎「君はこのまま修羅道しゅらどうに落ちるつもりかい?」(秋光をガン無視)


秋光「何をいってやがる……」


龍虎「君の父……冬馬さんは本当にいい刑事だった」(秋光をガン無視)


秋光「何を……いってやがる!!!」


秋光、襲い掛かるも龍虎にかるくいなされる

勇との戦いでの傷のため膝をつく秋光


龍虎「……嫌な事件だった。だが、君のなかではまだ過去じゃないんだな。

誰よりも人を信じ、最後まで自分の信念を貫きとおした冬馬さんが今の君をみたら……悲しむだろうな」


秋光「ベラベラと……質問に答えやがれ!」


龍虎「ゴロツキをのしたところで、ヤクザや不良はいなくならない。それはもう君もわかっているんじゃぁないのかい?」


秋光「知ったふうな口を聞きやがって……!」


龍虎「世の中には確かに人を騙し傷つける人間は多い。だがな、まっすぐな奴もいるんだ。君のお父さんや、私の弟子のように」


私の弟子、という言葉と共に勇に視線をやる龍虎、それにつられて勇をみる秋光


秋光「……一本杉には悪いことをした……。」


龍虎「?」


秋光「俺は早とちりをしたんだ。あいつの師匠が鬼龍だと思った」


龍虎「鬼龍……!?秋光くん、鬼龍に会ったのか……!?」


秋光「あぁ。自分を拳道越流けんどうえつりゅうと名乗っていた、アンタやアイツからは微塵みzんも感じない死臭ししゅうと殺気をむせかえるほどまとわせてやがった……」


勇「か~~お前それで急に喧嘩うったの?」


ムクリと起き上がる勇


秋光「……前々から気に入らなかったからぶっつぶしたかっただけだ。」


勇「なにそれ!!怖いんだけど!!さっきと言ってること違うじゃねぇかよ!!」


秋光「目覚めてたならさっさと起きやがれクソ一本杉が!!!」


勇「おーまーえーが一本杉って言うから呼ばれたと思って起きたんだろうが!!」


龍虎「……勇!……そして秋光くんもよかったら聞いてくれないか。私と鬼龍の……拳道越流の話を」


勇、秋光ピタリと黙る


秋光(なんで俺もなんだ……)




鬼龍「でぇやぁ!」


SE:殴り(小)


龍虎(今より声色明るい)「ちぇあ!」


SE:殴り(小)


鬼龍「また腕をあげたな兄弟!」


龍虎「ふっ、鬼龍もな!」


せいやぁ!とかしばらく二人で言っておく


龍虎「もうお師匠様についてきて十数年か……」


鬼龍「あぁ。そうだな」


龍虎「……あぁ、婚期を完全に逃してしまった……」


鬼龍「フッフッフッ……フーッフッフ……フハハハハハ!!!!」


龍虎「オイオイ、どうした気でもふれたか……?」


鬼龍「わるいな、龍虎。」


龍虎「なにが?」


鬼龍「するんだよ」


龍虎「なにを」


鬼龍「結婚」


龍虎「誰が?」


鬼龍「俺が」


龍虎「……」


鬼龍「ふっ、驚いて声もでんようだな!」


龍虎「……あぁお師匠様……鬼龍はついに鍛錬のしすぎで脳みそまで筋肉に……」


鬼龍「そういうと思ってな。ほれみろ。このトゥショットを」


龍虎「む……む!?!?か、可憐だ……」


鬼龍「そうだろう、そうだろう!」


龍虎「い、いつのまに……けしからんぞ!武に身を捧げた身で!!」


鬼龍「フッそうひがむな。お前が実家に帰省していた1か月前のある日、俺は運命の女に出会ったのだ……とんとん拍子にもう結婚、そう、結婚だ。」


龍虎「美人局つつもたせだろそれ」


鬼龍「フッ、違うぞ。これを受け取れ」


龍虎「……!結婚式の……招待状……」


鬼龍「お先に失礼、我が兄弟。」


龍虎「鬼龍~~~~キサマ~~~~~!!!おめでとうだぞこの野郎!!!抜け駆けしやがってニクいやつめ~~~!」


鬼龍「よし!飲みに行くぞ!ずっと言いたかったが我慢していたんだ!」


龍虎「朝までいくぞ!朝まで!」


鬼龍「あったりまえだ!!!」




勇「次回予告!」


秋光「鬼龍、今とは全然雰囲気が違うじゃないか……まるで別人。」


勇「え~~っと、この話がヒーフーミー……だいたいこんくらい前で師匠はいまだに


龍虎「次回 「鮮血淋漓せんけつせんり、拳道越流。」明日があるから人は前に進める」

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