ホームルーム 愚問とノリ

どうしようもないので漫画を参考に友達の作り方を他人に聞くことにした。まさに愚問だ。

しかし今の私にはこの方法以外思いつかない。なぜなら現在時刻午前二時だからだ。

そして私はそれを思いついたあと取り憑かれたように布団に潜った。

朝、学校についてから思う。この愚問を誰に聞けばいいか。

なあなあで無計画で生きてきたツケなのかもしれない。

とりあえず男子全員論外だ。陰キャ陽キャ関係なく異性に話しかけられる程、私のコミュニケーション文明は発達していないのだ。

では女子の中で誰を選ぶか。

あれこれ考えた挙げ句、クズな選択肢を選ぶことにした。私の感じ悪い目つきや態度を利用して、あのプリントの名前を書き忘れてたことを言いに来た気弱そうな美少女ちびっこに聞くことにより圧倒して話しやすくするのだ。全くの「クズ」戦法だ。

「ねえ。」

「んにょ!?」

「友達ってどうやって作るんだ?」

「にょにょ・・・!?」

いかん。相手は凄くパニックになっている。

そして私もだ。この空気をどう処理しようか、相手は何を思っているかで頭がいっぱいだった。

「!?!?!?」

「にょにょにょ・・・!?!?」

「!?!?!?!?!?」

「カオスだね?」

「!?!?!?!?」

「にょにょ!?」

「誰・・・」

気弱そうな美少女の前に座っている「すっごい頼れる感じのオーラ」が出ている背の高い子が私の言葉を聞いておでこに豆鉄砲食らったような顔をした。

「新宮さん、ウチちょいショックやで・・・あんたん名前は覚えとるっちゅーのに・・・」

大阪系だった。

「まあ、あんたみたいな内気な子は人と接しぃひんからウチの名前しらんでもしょうがないか」

大阪人は弾幕のように言葉を投げてくるから、会話が苦手な私にとっては嫌いな存在だった。

しかし不思議とこの人は話しやすい。

「ウチは松本まつもとかすみ。渋いけど、霞の花言葉は『』やで。忘れんといて」

安定のしっかりもの感が溢れ出ている。

「は、はひ!私はま、前川まえかわ佐奈さな!」

なんだろう、絵に書いたような癖の強さだ。

「さ、新宮も。」

なぜそうなる。私の名前は既に存じ上げてるだろうが。

「私これでも頑張ったんですよぅ!新宮さんもやんないと、気がすまないなです!」

やらないとマズい空気だこれは。

「に、新宮深琴です。元々、うちは琴職人の家庭だったらしいので。」

まあ、ピンとこない情報だよな。

地元は一応、琴も有名らしい。

とっても有名じゃなからわからないだろうが。

「あーそうそう、深琴はん、友達の作り方やっけ?聞いてきたのは。」

癖が強い上にカオスな状況だったので本来の目的をすっかり忘れていた。

「ウチらもう友達や。」

「!?」

目標は桜のように儚い。

達成してから、そのことを何故目指していたかが分からなくなってくるのだ。

「わ、私も?」

「ったりめえや。」

「友達って・・・」

「ええか?友達っちゅうもんはな、ノリで意気投合して、そっから信頼を築くもんなんや。あんたが思うほど堅苦しいもんちゃうで。もっとこう、な?ふんわりした感じや」

私は友達になることを書面を交わして契約をするようなレベルで堅苦しいものだと思っていた。

人間関係ほど難しく、複雑で、不思議なものはないと思った。きっとこれまでの万人の発明品の仕組みより遥かに理解し難いものだろう。天才発明家エジソンも不遇な発明家メウッチもこればっかりは仕組みを説明できないだろう。

「なんや。にぃ。宇宙の真理を知ったみたいな顔しとるな!」

「霞ちゃん、にぃって?」

「新宮の「にぃ」や。どや?ええやろ?」

ナイス。そのあだ名のセンスとても気に入った。

「有り難くそのあだ名を頂くよ。」

「っしゃ!」

家に帰ってから、お父さんに友達ができたことを言ってみた。

するとちゃぶ台をひっくり返す勢いでビックリしたあと、

「す、すすすす寿司、行くぞぞぞぞ・・・!!!!」

明日は空からマグロでも降ってくるのだろうか。

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私の手に銃があったなら つきみなも @nekodaruma0218

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