三時限目 堕落とゴールを見つけるまでの道のり
私はゲームが好きだ。
正直、人生なんかよりもゲームのほうがずっと面白い。
なに、中毒とか依存というわけではない。私は現実の人生に絶望してるし、暗闇にしか見えないのだ。目標も夢も幸せも、たくさんのガラクタから一つのものを探すのと一緒。私のような欠陥品でなり損ないには目標も持たせてもらえないのだ。上には上がある。いくら追い求めても所詮亀とウサギなのだ。わたしはもちろん亀、もしくはウサギだ。できるくせにやらないという部分もある。だからうさぎも含む。
一方、ゲームはやることが一貫している。最初から最後まで明確な目標がある。それがないゲームでも、力量差はプレイスキルにしか出ないから協調もしやすくて、現実みたいにモチベーションも消えないのだ。
人々がゲームに浸かりゲームを楽しいと思うのはそこにあるのかも知れない。
とにかく今の私は精神的な意味でよろしくない。
今はゲームより死後の世界に興味がある。この世界には不満だらけだしこの体もポンコツガラクタだから、生きる気力を失っている。
自分で言うのもおかしく痛いとは思うが、役立つのは自分のそれなりの顔立ちと体だけである。
ロープを見るたび西部開拓劇のカウボーイのあれを思い出す。
死への恐怖心より生きることに対しての恐怖心のほうが強い。
やけに調子の出ないシューティングゲームを前に椅子にもたれかかって、しばらく放心状態になった。死んだみたいで心地よかった。
その日はどこかの崖の絶壁にある幅がものすごく狭い道を慎重に進む夢を見た。下に誰か居た気がしたのだが、途中で滑落してしまった。女は投身自殺したとき地面に打ちつけられてから死ぬというが・・・
「はぅ!」
ゲーミングチェアから落ちる前に目を覚ました。結果落ちたけど。起きるのも着替えるのも何もかも気力がないので、うつ伏せのまま、寝るでもなく放心状態でフリーズしていた。
「ただいまー」
「おかえり」
「深琴、何してるんだそこで」
「ボーッとしてた」
「とりあえず起きて着替えろ」
「うー」
「あと俺は寝る」
「うー」
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