アルターステラ 飢餓で追放されし小さき旅人は世界を流浪する
アルターステラ
第1章
第1話 道端の小さき旅人は焚火に照らされる
この世界には様々な種族が入り乱れ、各々に
世界を構成するのは、目に見えるているものだけではない。
いくつもの
この国は盗賊対策のため、高い壁に
門は
昼間は多くの
そのおかげで、街門付近は街の
街門付近の
ダーラム近郊。
夕暮れに染まる一面の草原地帯を
その道端に
炎に照らされた小さな人影が1つ。
近くの小川から
赤色の植物の
小さな外見にそぐわない大きな
「あちっ!」
植物の
味付けに使った
小鍋を火から遠ざけて、
数分の後、香ばしい良いにおいがしてきた。
そろそろひっくり返す
ひっくり返してみても、
数千回あるいは数万回と繰り返しているため、自然と感覚が身についている。
もう一品を
魚の
早いところ食べてしまわないと
寄ってきてしまうかもしれない。
旅人は細く小さい。
まだ幼さが残る面影だが、長く伸びた髪で顔が隠れているため、たいがいの人々はその顔を見ることはなく、ただ行き交うだけだろう。
体の大きさや細さに反して、
しかし、その顔を見たものは、まだ年端も行かないがその整った顔と治安の良くない世界を1人旅する姿とのギャップに驚かされる。
それと同時にいくつもの疑問が湧いてくることだろう。
なぜ子供が1人で旅をしているのか。
身寄りや親はどうしたのか。
どうやってこの世知辛い世の中で身を守り、たった1人で生き残ることが出来ているのか。
その大きな荷物はなんなのか。
本当に見た目通りの子供なのか。
その光を吸収してしまいそうな深い色の瞳であれば、身を寄せられる場所などは
その子供に見える
しかし、この広い夜空の下には今、小さき
あるのは2本の木と、気を揺らす風、脇を流れる小川と、広大に広がる草原だ。
遠くに見える交易都市は固く門を閉ざし、見渡す限りは人気がない。
暗くなりつつある空のもとに、焚き火が揺らめき、美味そうに汁物を啜り、香ばしく焼き上がった
そこには世の喧騒とは無縁の至福があり、瞬き始めた星々も静かにその旅人の食事を見守っていた。
細長い
近くに火があれば、
長年愛用ている調理道具たち。
今後の
細かい傷や欠けなどは持ち味として受け入れている。
道具を洗うついでに、服を脱ぎ清流で身を清めることにする。
ほんの少量の灰を清流に溶き、顔や髪や体の皮脂汚れを水量と合わせて洗い流す。
長く伸びた髪を洗うには少し時間がかかる。
ほっそりとしてはいるが、旅を続けるのに適度な筋肉がついており、しなやかな体も、可能な限り隅々まで
冷たい川の流れで清め洗う。
その月夜の水浴びの姿はある種の優雅さや洗練された動き、気品を感じさせるものがあり、人によっては神秘的な光景として目に映るかもしれない。
年齢による等身の低さを少しだけ差し引けば、小さな旅人のボディバランスはとても均整のとれたもので、美しいと表現しても差し支えないものだった。
口の中も木の柔らかい
健康であるためには自身の体の手入れを
これまでの旅路での苦い経験もあり、普段の手入れの重要性は十分に理解しているのだ。
小川から上がり、乾いた布でその華奢な体を
木の根元に戻ってきた。
火を
この地方は比較的温暖な方で、今の時期はだんだん日が長く緩やかな日差しによって、昼間のうちは
しかし、日が落ちると
火を
しっかりと体を温めてから眠るのが良い。
体が十分に温まるまでの間、
小瓶の中身は液体だ。
布に
液体の正体は、植物を
この油の元になった植物は薬としても使うことができる。
強い香りを持っており
この植物の香りには獣や昆虫には
昆虫や獣を遠ざける効果が
今夜もそのご
数枚の布を
こうすることで人口的な
体はすっかり温まったので、
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