第8話異世界から来た黒猫⑧
私が、この異世界みたいな国へ来て初めてキラキラ光る豪華なお城の壁と廊下に窓から見える綺麗な花を見て、私はフランソワ王子様の腕の中でキョロキョロと周りを見渡していた。
「初めての景色に驚いているね」
「二ャ~ッ」
クスッと笑顔を見せる王子様は猫の私の頭を撫でてくれた。
(頭を撫でられると安心するから不思議…)
ピクッ!と、さっきまで王子様が撫でてくれていた頭を上げるとピクピクと耳を立て音を探した。
「急にどうしたんだ?何か聞こえる?!」
ジッ…と真っ直ぐ見る先から足音が聞こえ、誰かがこっちに向かって歩く足音で私は固まったように見ていた。
今の猫の姿でいる私は人に会う事に避けていた…
『不吉な猫』だと言われ…いつこの城から追い出されてしまうかも分からない今の私は不安でいっぱいだから…余り人に会いたくない…どうして黒い猫は不吉だと決めるここの信者の人達はおかしいと思うしロペスさんの方がまともな人に……
カッカッ…と足音が近付き人影が見えた。
真っ黒な黒髪が肩に付く長さで目は金色で端正な顔をしてがっしりと鍛えた体に…黒いマントに黒い軍服みたいな服を着て身長は180㎝はあると思う男の人がこっちに向かって歩いてきた…
「フランソワ王子殿下」
「ブラッド・スタンガ騎士団長、お疲れ様です。珍しいですね貴方が城内を歩くなんて」
「召喚の話を聞いたもので…殿下が抱いていますその猫が例の…聖女ではなく猫とは…」
ジッと見ている金色の目が綺麗で怖いと思った私は顔を逸らし王子様の腕に顔を埋めた…
「余りこの子を責めないで欲しい…普通に暮らしていた生活から私達が狂わせてしまった…この子にも家族に仲間達と平和に暮らしていたのだろう…」
「……」
フランソワ王子様の手が猫の私の頭を撫で、まるで謝罪をしているように聞こえ黙って私は聞いていた
「その言葉は聖女にかけて下さい、これから行う召喚の儀で呼び出すのですから」
「……そうだね…」
…次の儀式の準備が進められていると聞いて召喚された子は暖かく迎えてくれるのだろうか…それとも私のように……
「…その猫はどうするのですか?」
騎士の声にパッと顔を上げた私は笑顔を見せない騎士にビクッと体が動いた。
「…ああ、私の猫にするつもりだよ」
「…信者の中で猫好きな彼がいると聞いたのですが…何故彼に譲る事をしなかったのです?召喚してまだ日が浅いのです。彼に預けた方が…」
「ジエラルド王子がこの子の事を余り良く思っていないようなんだ…陛下も巻き込まれのは仕方がないと言われ信者に任せていた。せめて私だけでも守らなければと思ったんだ…」
(ありがとう王子様、優しいんだね…人間の私でもそんな言葉をかけてくれたのかな…)
ナデナデと頭を触るフランソワ王子様の手に『猫のままでもこの人とずーっと一緒にいたい』と思い始めていた。
聖女として召喚されましたが猫なので冷血騎士様の膝の上で今日もまったりしています 冬猫 @meknko
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