第5話異世界から来た黒猫⑤
「猫ちゃん、大丈夫だよ~僕が居るからね~っ」
「ニャッ?!」
グイッと両脇を掴み上げた信者の人が、笑顔で猫に成った私を見てこの人は猫が大好きなんだと思った。
高い高い…とまるで小さな子供を抱き上げたように喜ぶ信者の人は私の事が怖く無いのかな…と思ってしまった。此処に集まっている信者の人達は猫に成った私の事を『不吉』だと話していたから…
「おい、ロペス余り触らない方がいい、まだ安全な猫だとは限らないぞ」
「イータンさん、大丈夫ですよ。フランソワ王子様も触っていたんですよ。ほらっ、こんなに大人しいじゃないですか~っ」
「…いや、お前そんなにぶらぶらと揺すると具合悪く…」
「ニャ、ゲ~~~ッ!!」
!?
私は余りにも揺れた体と、この知らない異世界に来たせいなのか一気に乗り物酔いのように吐き気が来ると我慢できなかった。もう最悪
「うわ~っ、猫ちゃん大丈夫?!」
「げえっ、だから言っただろうがこのバカ!」
「なんの騒ぎだ?うっ!……ロペス、近付くな」
「何をやっ……今すぐこの部屋から出ろ!ロペスとその猫」
「不吉です。やはりこの猫は呪いの猫だと思います…処分すべきかと……」
「え~っ、駄目だよちょっと具合い悪く成っただけだよ~っ」
「その話しは後だ、ロペスその猫を綺麗にしてお前も着替えるように」
私は気分が悪く意識がぼーっと成って、このロペスと言っていた信者の人に抱き抱え私はこの部屋を出た。
私はロペスと言う人に抱かれ廊下のような場所を朧気に見ていた。
「ごめんね、猫ちゃんまだ動ける状態でもないのに振り回して」
コッコッと歩く足音を聞いて私は彼の腕の中で眠った
このまま眠ればもしかしてこれは夢だったんだって…次に目を覚ました時私は家に居て柊美夜子に成っているはず……だった。
パチッ!と私は目を覚まし体を見た!
「……」
やっぱりまだ猫の姿で私は息を吐いた後、見馴れない部屋の中にいた。
「……」
周りは、猫の絵が何枚も壁に飾って棚の上には猫の置物が幾つもあり、私はこの部屋が誰の部屋なのか分かってしまった。
カチャ!
「あっ、猫ちゃん!良かった目が覚めたんだ。ちょっと待ってね」
(え?良かった?ってどういう意味だろう…あの後どのくらい眠っていたんだろう)
「ニャ…」
コトッコトッと目の前に器に入った水にそして人が食べる食べ物が器に入っていた。
(えっ!?私キャットフードが出たらどうしょうと思ったけど…これって普通に人間が食べる食べ物よね!?お魚を蒸したような良い匂いがする…)
猫の習性だろうか座りかたも猫のように座ってクンクンと料理の匂いを嗅いでいた。
(はぁ…恥ずかしい…普通にお箸を持って食べる事もコップで飲みたいのに飲めないなんて…今はお水が
飲みたいから先に飲もう…)私は猫の体で丸くなり、器に顔を近付ける所までやると視線が気になりチラッと横を向けると、ロペスって人がいつの間にか側で体を床に着いて寝転んで、笑顔を向ける姿に私は驚き思わず毛がブワッと立っていた。
「ハハハ、ごめんごめん驚いた?!猫ちゃんが目を覚ましてくれたのが嬉しくて、このまま眠りについたらどうしょうと思ったんだ」
(だからどれだけ眠っていたのよ!?)
「みんな酷いんだよ、『一生目を覚まさないかもな』とか言うんだよ、酷いと思わない?フランソワ王子様の猫様になるのに……」
(え?私あの王子様の側にいる事に成るの?!)
大きな手が頭をなでなでとしてくれる手が気持ち良くって笑顔なのに寂しい顔を見せるロペスさんに眠っている間私の事を世話してくれたのかな…
(……まさか…トイレの世話も?!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。