第4話異世界から来た黒猫④

「フランソワ王子様…それ以上異世界の猫に触れませぬように、まだ何も判っておりませぬ…」

「……」

信者って言う人が、異世界から来た私に触るなと言い猫の姿に成った私の頭を、綺麗な顔のこの人はまだ撫でている…

「兄上が触ってなんともないなら普通の猫だろう、それよりお前達、俺達を呼び出し召喚したのが猫でしたとそれで納得すると思うのか?」

「…も、申し訳御座いませんジェラルド王子様…」

「ジェラルド王子、彼等を責めるでない見知らぬ世界から人を呼び出すのは簡単では無い」

「ですが父上、他の隣国では聖女を召喚に成功した話しが出ています。魔物が多いイムカルム王国では一日でも早く聖女を召喚しなくては成らないのです。

それを聖女は愚か小動物を召喚するなど…」

目上の視線で睨むように私を見ているこの王子様は猫の私を嫌っているのだと思った…

「ジェラルド、父上が言われましたように人を召喚する事は難しいのです。焦っては駄目です聖女様が私達の国へ来てくださるのを待ちましょう」

「……話しに成らない、次の儀式でまた動物だと俺は笑って褒めてやろう」

バタン!と勢いで部屋を出たジェラルド王子に私は重い空気から軽く成ったような感じだった。

「…はぁ…ジェラルド王子の短気さには頭を痛める…次の儀式は幾日かかるのだ?」

「……正確に申し上げることが出来ませんが数週間の有余を頂きたいと…」

「うむ…次の儀式で聖女を召喚するように」

「はい、陛下」

信者の人達が皆頭を下げ、陛下って言っていた人がフランソワ王子と私の側へ来る姿が見え私はこの王様のような人で生死が決まるんだと…私の世界へ帰る事が出来たらどんなに良いか…それから此処から早く出たい!

「……フランソワ王子…その猫を触ってもなんとも無いのか?」

「はい、大人しく可愛いです。まだ震えが止まらないようですが…父上この子を側に置きたいのですが」

!?

「この猫が欲しいと言うのか?」

「はい」

(えっ!?王子様の側に私を?…)

「し、しかし、フランソワ王子様まだこの猫が安全だとは…わたくしどもで管理したいと思っております」

「うむ…信者達が申すように暫くは様子を見てはどうだ?何もなければお前にこの猫を預けるとしょう、それで良いか?フランソワ王子」

「分かりました。この子はあなた方にお任せしましょう何かありましたら知らせて下さい」

「はい、フランソワ王子様」

(えっ?何、私この信者って人達の側に居ないといけないの?)

「ニャア、ニャア…」

「ふふっ、声が少し出てきたね暫くはこの人達が君の主人だよ」

ナデナデと大きな手が猫の私の頭を撫でフランソワ王子様と王様が部屋を出て行ってしまった。

(……帰りたい…魔法陣の中でじっとしていれば帰る事が出来ると思ったのに……話す事も出来ないなんて…私はこれからどう……)

「僕が居るから大丈夫だよ~~可愛い子ちゃん!」

「ニャ!?」

グイッといきなり抱き上げた信者の一人に私は驚いてしまった。

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