第3話異世界から来た黒猫③
「聖女様は何処にいる!?」
「今回も失敗なのか?」
(えっ、えっ、此処は何処?聖女様って何?!それに真っ白で模様が入った服を頭まですっぽりと被っている怪しい人達は誰?チラッと見える顔が日本人で無いのに何故話している言葉が分かるの?!)
私は、柊美夜子高校一年生。毎日が充実してそれなりに高校生活は楽しい、勉強を除けばね!
その日は友達の買い物に付き合わされ、いつもとは違う道で帰っていた。
「……ニャ…」
「えっ?……猫?」
微かに聞こえた猫の声が気になり曲がり角で足を止めると、二歳くらいの黒猫が倒れているのを見た私は車が通らない場所でもあり、具合いが悪くなって道端で倒れていると思い私は黒猫に近付いた……
「……ネコちゃん?……大丈夫…?!」
パアーーッ!
「えっ?!」
地面から丸い円が青く光るのが見えると、私と黒猫は一緒に光りの中へ吸い込まれるように私は意識を失ってその後は覚えていない……目が覚めた時は知らない男の人達が声を上げ、慌てている姿が目に写っていて私の方を見て怒っているようにも見え怖かった。
(早くこの知らない所から逃げ出したいのに体が動かない…それに何故かあの人達が凄く大きく見えて…)
「ふにゅっ」
(えっ?ふにゅっ?)
私は手に違和感を感じ、床に目を向けるとフサフサとした黒い毛皮をはめた動物の手を見た。
「……ムニュッ、ムニュッ、ポンポン、にゅ~っシャキーン!」
(何これーっ、爪!?)
私は自分の意思でこの黒い毛皮の手を動かしている事に固まっていた。
(…は?何これ?何これーっ、何かのコスプレ?!)
ポンポン、ムニムニ、ふわふわ、グニグニ…
ポテッ!と体が横になると目から見える自分の体が人間で無い事に気付き、ショックで体が仰向けに成った時に、見たことも無い天井の造りに目から涙が溢れた。
(何で?何で?こう成ったの?私は誰?人間の柊美夜子は何処に行ったの?!)
「……ニャ……ニャ…」
私は声が猫語に成って、人間の言葉を出す事も上手く声に出す事も出来ず、あの時道端で倒れていた猫に私が成ったのだと…これが夢であって欲しいと思った
「何処が異世界の生き物だ!?ただの猫だろうがーっ!!」
ビクッとネコの姿に成った体が跳ねぶるぶると震えが止まらなかった…
(こ、怖い…この人王子様?!王子様ってこんなに怖い人なの?顔はイケメンなのに…それに離れていても分かるイヤな匂いがあの王子様の方からする…猫の嗅覚が凄いのは本当なんだ……私これからどうなるの?
此処から早く出たい…ううん、逃げ出したいのに動けない……私この人達から殺されるの?そんなの無いよ…私が何をしたと言うの?……お父さん、お母さん、涼兄ちゃんに会いたい!家へ帰りたい!!)
私は猫の姿で丸くなり震えていた時、良い匂いがして私の近くに、金色の髪の毛を伸ばして笑顔を見せている綺麗な顔立ちの男の人が立っていた。
「……ニャ…」
「…私はフランソワと言います。怖かったでしょう…もう大丈夫ですよ……」
大きな手がネコの私に近付き、人間の手がこんなに大きくて怖いと思い、もうダメなんだと思った。
ふわっ…と頭を撫でる手が気持ち良いなんて知らなくて、丸くなって動けない私に何度も撫でてくれた。
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