第40話・友情?

ある日の朝、ミナは生徒会室に呼ばれた。あの厳しい生徒会長の事、自分に余程の過失があるのでは?と…ミナは気が気で無かった。


ミナ「あう…朝っぱらから気が重い……」


いつもは気軽に開ける生徒会室のドアが、ミナに重くのしかかった……


ミナ「し…失礼します……美波みなみです…」


生徒会室には、腕組をしながら後ろ向きに生徒会長がミナを待っていた。


ミナ(うぐっ…やっぱり私…何かやったのかしら……)

生徒会長「良く来たわね?」


生徒会長は、ミナの方を振り返りメガネがまばゆく輝いた気がした……


ミナ「あ…あの……ご…ごめんなさい……」


ミナが90度に体をかたむけて敬礼するの姿を見て、生徒会長はキョトンとしていぶかしんだ。


生徒会長「何を誤解してるか知らないけど、突然呼び立てしてごめんなさいね」

ミナ「へ?怒られるのでは……」

生徒会長「怒る?何かしたのかしら?」

ミナ「い…いえ…してません!!…多分……」


よく見たら生徒会長は、実に優しい表情でミナをむかえているので、それほど悪い用事では無いのだろう…ミナはすっかり安心しきっていた……


ミナ「あの…それで…何の御用でしょうか?」


生徒会長はミナに近寄り肩をつかんだ……


ミナ「え?か…会長!!??」

生徒会長「妹に聞いたのよ!!あなた友達なのね!?」

ミナ「と…友達って……あの…会長…近いです……」

生徒会長「ネネと仲良くしてくれてるのよね!?」

ミナ「ネネ!?…って…ガリベンメ…いや…ネネ…さんと私が!!??」


ネネとはガリベンメガネこと根倉ネネの事で、ミナとは決して相容れぬライバル関係である……生徒会長…つまり…根倉ナナは誤解していた……


生徒会長「あの子ったら、勉強にしか興味が無くて友達が全然いなかったのよ」

ミナ「まあ…そうでしょうね……でも…別に私達、友達では……」


次の瞬間…ミナが恐れていた一言を生徒会長は放った。


生徒会長「これからも、ネネと仲良くしてあげてね?」

ミナ(な…な…何ですと~!!??)


教室に戻りミナは頭をかかえ、悩みに悩んだ。根倉ネネと仲良くする……如何いかに生徒会長の頼みでもこればかりは……


律子「ミナ?どうしたの?」

ミナ「会長から大変なミッションを……」

律子「ミッション?」

安田「なんじゃそりゃ?」


ミナは二人に相談した……


ミナ「実は…会長がネネと仲良くしてくれって言うんだよ……」

律子「ネネ?あ~根倉さんか」

安田「何故なぜ悩む?普通に友達してあげたら良いじゃん」


安田の提案に、ミナは拳を大にして宣言した。


ミナ「ダメだよ!!親友はリッちゃんだけだもん!!」

律子「あ…いや…気持ちは嬉しいけど……」

安田「何も親友枠を使えと言って無いでしょう?」

ミナ「と…とにかく…私には無理…一体どうしたら……」


単純な事に頭をかかえるミナに安田が言った。


安田「でも期待してる会長には、嘘でも仲が良い所を見せなきゃ」

ミナ「まさにそこが悩みの種…嘘でも無理……」


悩むミナに律子が仰天ぎょうてん提案をした。ミナとネネの今までの関係性から考えてそれは奇跡に近いコラボレーションだった……


律子「もういっそ、二人で一緒に勉強でもしてみたら?アンタ達二人、勉強は得意でしょう?案外上手く行くかもよ?」

ミナ「ガリベンメガネと勉強!!??」

安田「リッちゃんにしては良い考え、やってみたら?」

ミナ「うぐっ…まあ…それくらいなら……」


放課後…律子が根倉をミナの前に連れて来た。


根倉「何よ?三番目が私に用って?」

ミナ「あ…あの……その…一緒に…」

根倉「一緒に何?アンタに構ってる暇は無いの、早く要件を言いなさい」


ミナは苦虫を潰したような感じで、次の言葉を発せずにいた。


律子「ミナ?わたしが代わりに言おうか?」

ミナ「いや…自分で言う……」


ミナは根倉の前に立ち、にらみつけて気合を入れた。


律子(何故なぜそこで相手をにらむ……)

ミナ「根倉ネネ!!」

根倉「な…な…何よ!?あ…アンタなんか怖くないわよ!!三番目の癖に!!」


三番目と言う言葉にミナは猛烈に反応した…成績が万年学年三番のミナは、二番目の根倉に勝てた事が無いのだ……


ミナ「ぬわんですって!?このガリベンメガネ!!せっかくこの私が一緒に勉強をしてあげようと思ったのに!!」

根倉「冗談辞めて!!アンタなんか勉強の邪魔よ!!」

ミナ「生意気なガリベンメガネ!!こっちだって願い下げよ!!」

律子「あちゃ〜…やれやれ……」


結局こうなる二人だった……

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