第39話・恋のストーカー?

律子の親友ミナは、町中でコソコソと隠れ目の前の二人を追跡していた。


ミナ「見てよ、あの二人」

律子「見たよ……安田さんと近藤くんでしょう?」


ミナは目を輝かせて二人を見ていたが、律子は以前も…いや、カップルを見付けるたびに追跡しようとする親友のストーカー的な悪癖にうんざりしていた。


律子「アンタさ…前にもこんなコトしてたよね?いい加減にしないと捕まるよ?」

ミナ「だってさ~気になるじゃん、あの二人絶対に付き合ってるんだよ~」


何を言っても他人の恋バナに首を突っ込みたがる親友の姿を、律子は本当に成績が学年3番の秀才なのか?と…成績カースト最下位付近の自分を棚に上げて嘆いた。


ミナ「あの二人…何処どこまで行ってるのかな?」

律子「同じ部活なだけだよ、安田さん一緒にバッシュを買いに行くって言ってたじゃん、二人はバスケ部なんだよ…」

ミナ「って事は……部活が!?いや…二人はバッシュが取り持つ仲!?そうね、バッシュは右と左で一つだもんね」

律子「いや…アンタ…靴はどれも右と左で一つじゃん…だったら世界中の人達が恋人かって話になるじゃん……」


ミナは律子の言に一層目を輝かせた。


ミナ「リッちゃんの割には上手い事いうね~そうよ、人類皆恋人よ!!」

律子「やれやれ……アンタってばさ、いつも他人の恋バナばかり追いかけてるけど、自分はどうなのさ?」


ミナは目が泳ぎちょっと焦った様な態度になった。こりゃ彼氏がいないな…って言うのが誰の目にも明らかだ。


ミナ「い…イマスヨ~ステキな…カレシィが…一人や二人は……」

律子「へ~、じゃあそのステキなカレシィに会わせてよ」

ミナ「いや…その…カレシィ達は勉強が忙しくて……」

律子「勉強が忙しいのはアンタよね?本当はいないんでしょう?」

ミナ「わ…わたしは……人の恋路こいじを見るのが好きなの!!」


親友の悲しい悪癖をまた一つ知り、律子はやれやれと言った感じであきれた。


ミナ「リッちゃんだっていないじゃん!!」

律子「わたしは興味が無いだけだよ、バカバカしい」


背を向けて去る律子の長いポニーテールをミナは逆上して引っ張った。


ミナ「親友なら一緒に恋してよ!!」

律子「アダダ!!!!ちょ!?引っ張るのヤメテ~!!!!」


大騒ぎする二人の前に、見覚えのある人物が家の中から出て来た。


津奈「人んちの前で騒々そうぞうしいと思ったら、またアンタ達か!?」

ミナ「あれ?福座ふくざさん……」

律子「痛たたた…髪が抜けるかと……」

津奈「あら?中川さん、頭なんてかかえて頭痛?相変わらずかよわいのね?薬を持って来ようか?」

律子「いや…コレは別件です…かよわくありませんから……」


律子を気遣う津奈を見て、ミナはキュピーンと何かに目覚めた。


ミナ「これは女同士の恋バナね!?」

律子「は!?アンタ何言ってるの!?」

津奈「恋バナ?」


騒ぎを聞きつけ、今度は家の中から津奈の双子の弟である圭が出て来た。


圭「ねえ?何の騒ぎ?」

津奈「さあ?恋バナがどうのって…」

ミナ「リッちゃん!!圭くんが出て来たよ!?付き合ってるのかな!?」

律子「違うよ!!あの二人は姉弟でしょうが!!!!」

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