第38話・約束

律子は休日の散歩で、見覚えのある二人に出会った。


圭「一緒に行こうよ、津奈~」

津奈「いちいちついて来ないでよ!!」


その二人はクラスメイトの転校生、福座ふくざ 津奈つなかん けい、双子の姉弟だった。


律子「あれ?福座さんに圭くんじゃない?」

津奈「あ…中川さん……」


圭はともかく、津奈はどことなくバツの悪そうな顔をしていたが、ちょっと鈍感で空気の読めない律子は言った。


律子「流石さすがに双子は、休日でも一緒で仲が良いんだね?」


仲が良いと言われて、圭は喜んでいたが、津奈は不機嫌そうだった。


津奈「こんなのと仲が良いなんて迷惑よ……」

圭「いや~アハハ~照れるな~」

津奈「そこ!!全然、褒めて無いから!!」

律子「福座さんは、圭くんが嫌いなの?」


実の姉弟に対して嫌いなのか?と…面と向かって聞くのはどうかと思うが、津奈は答えた。


津奈「好きとか嫌いじゃ無く、姉弟だから仕方無く一緒なだけ!!」

圭「一緒にお風呂も入った仲じゃない?」

律子「え?…一緒にお風呂入ってるの?メッチャ仲良しじゃん……」


一緒にお風呂に入ってると聞き、律子はちょっと引いた……


津奈「それは、4歳までの話よ!!馬鹿じゃないの!?」


どうやら、もう一緒にお風呂には入って無いらしく律子は少し安心した。


圭「僕は津奈が大好きだよ?」

津奈「こ…こんな…天然で馬鹿な弟なのよ…ほ…本当に馬鹿よね?」


姉弟に対してもお構いなしな、圭の天然発言に流石さすがの津奈もツンデレか?と思われる様な焦りを見せた。


圭「約束だってあるんだよ」

律子「約束って?」

圭「津奈を守るって!!パパと約束したのさ!!」


気合の入った圭の発言に律子は思った……


律子(そ…それって…まさかの遺言!!??)


聞いてはいけない事を聞いたと思い、空気の読めない律子も流石さすがにバツが悪かった。


律子「え…えっと……ゴメンね…二人共、パパがいないんだね……」

津奈・圭「え?」


律子の一言に、二人は顔を見合わせ言った。


圭「パパならいるよ、毎日ピンピンしてる」

津奈「今朝だって美味しそうに、目玉焼きを食べてたわよね?」


律子は思った……


律子(ちょっと!?死んだみたいな言い方しないでよ!!!!)

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