第30話・喧嘩するほど仲良し?

ミナは珍しく仲の悪い、隣のクラスの根倉にり寄っていた。


ミナ「ねえ?ちょっと見せてよ?お願い?」

根倉「ダメよ、これは私が借りたの」

ミナ「そんなコト言わずにさ~」

根倉「嫌よ、アンタは次」


その二人のやり取りを律子はクラスメイト達と聞いていた。


律子「何あの二人?」

女生徒1「珍しく仲良しね?」

女生徒2「図書室で一冊しかない参考書を取り合ってるのよ」


事情を聴き律子はあきれた……

なんせ勉強嫌いの律子の頭の中には、参考書と言う言葉すらも無いのだ。


律子「参考書を取り合うなんて、アンタ達くらいのものだね……」


その律子の言葉を聞き二人は、聞き捨てならないと言う感じで迫った。


ミナ「当り前じゃない!!」

根倉「参考書は学問の叡智の塊なのよ!!」


親友同士か??と言うくらい結託する二人に律子は言った。


律子「ちょっと!?アンタ達いつの間に仲良しに??」

根倉「三番目と仲良しなんて冗談言わないでよ」

ミナ「わたしも!!ガリ勉メガネはお断りよ!!」

律子「あ…ケンカするほど仲が良いんだね……」

根倉「だから!冗談は辞めて!!」

ミナ「わたしもお断り!!」


いつも通り喧嘩をし出す二人を見て、律子は思った。


律子「でもさ、そのガクモンのエーチとやらでもアンタ達二人って、一番じゃないのよね?」


二人は仰天した……

その一言は、とても律子の成績で二人に言える事じゃない……


ミナ「え!?リッちゃんがそれを言うの??」

根倉「アンタの成績で言う事??」


根倉は参考書を抱えてミナを挑発する様に言った。


根倉「でも必要な参考書は借りたから今度のテストは万全よ、残念だったわね?三番目?フフフフ」

ミナ「大事に抱えてないで、わたしにも見せなさいよ!!」

根倉「キャンキャン吠えるな!三番目!!」

ミナ「なにさ!このケチメガネ!!」


取っ組み合いの喧嘩に発展しそうな二人に、律子が仰天提案をした。


律子「ねえ?いっそアンタ達、一緒に勉強したら?」


有り得ない一言に二人の時間は一瞬止まった……「え!?一緒に!!??」

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