第29話・甘やかし

授業中、居眠りをした律子は親友のミナにノートを借りようとした。

って言うか…勉強嫌いの律子が授業で居眠りをするのは既に茶飯事なので、隣にいた友人の安田はちょっと呆れていた。


律子「居眠りしたのよノート貸して?」

ミナ「仕方ないな~次は眠いの我慢するんだよ?」


次の日、律子は宿題を忘れた。

これも既に茶飯事なので、安田はまた「寝てたのね」と思った。


律子「頑張ったけど寝落ちしてさ~宿題見せてよ?」

ミナ「仕方ないな~今度はちゃんと起きてるんだよ?」

安田「え?宿題自分でやらなきゃ意味無いよね?」

ミナ「だって親友だし」

安田「…………」


その後も律子は何かとミナに頼り、当のミナも快く助けた。


律子「ねえ~お願い」

ミナ「もう仕方ないな~」

安田「…………」


度を越えた律子の依存に、安田はミナに忠告をした。


安田「リッちゃんを甘やかせすぎじゃない?」

ミナ「え?だって…親友なんだよ?」

安田「たとえ親友でも、本人の為にならないなら厳しくしなきゃ」

ミナ「そんな……」

安田「このままじゃリッちゃんダメ人間になるよ」

ミナ「ダメ人間!?」


ミナは想像してゾッとした……

大人になっても自分に依存するあまり、何も出来ず転がり落ちる親友の情けなくもかよわい姿を…


そこへ…いつもの様に律子がやって来た。


律子「ねえ?ミナ?聞いてよ~」

ミナ「あ…リッちゃん…」

安田「ほら?どうするの?」


ミナは勇気を出して心を鬼にした…

親友の情けなくてかよわい未来を阻止する為に……


ミナ「ダメだよ!!自分の力でやりなよ!!」

律子「エ~ッ!?なんで、そんなこと言うのさ!!??」


律子の叫びにミナの心は張り裂けそうになった…だがこれも親友の未来の為……


ミナ「宿題は自分でやらなきゃダメ!!もう見せない!!」

律子「そんなんじゃないよ!!…うう…いつもありがとうって言おうとしただけなのに…グスン……」

ミナ「え~っ!?ご…ゴメン!!宿題見せてあげるから許して!!」

律子「本当に?…もう意地悪言わない?…グスン……」

ミナ「言わない!言わない!!」

律子「じゃあ許す。宿題見せてね?」

ミナ「仕方ないな~」


安田は思った……ダメだこりゃ…と……

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