第25話・付き合い

ミナは、町を行くカップルを見つめていた。


ミナ「ねえ?あれ見てよ」

律子「さっきから、なんでコソコソしてるの?」


ミナは、他人の恋バナが大好きでカップルを見付けては、アレコレ想像してしまうのである。


ミナ「あの二人、付き合ってるのかな?」

律子「またそれ?アンタって相変わらず恋する乙女だね~」

ミナ「なにさ!!自分だって乙女でしょう??」


憤慨するミナに、律子は馬鹿にしたように答えた。


律子「笑わせないでよ、わたしは恋に恋するような、かよわい女じゃないのよ…冗談じゃないわよ……」

ミナ「でもさ…リッちゃん、そんな事を言ってたら一生お一人様だよ?」

律子「わたしは、誰かに頼るような、かよわい女じゃないの!」


強がる律子にミナは言う。


ミナ「リッちゃんって、そんなにブサイクじゃないんだから…」

律子「どうでもいいわよ」


そこへ、クラスメイトの男子生徒が現れる。


男子1「あっ!?探したよ!リッちゃん!!」

律子「何?」

男子1「実は…付き合って欲しいんだよ……」

律子「いいわよ、仕方ないわね」

ミナ「エッ!?リッちゃん??そんなに簡単に付き合うの??」


ミナは、律子の軽さに驚いた……


男子2「何だよ!?お前らの助っ人って女の子かよ!?」

律子「わたしを、そこいらのかよわい女と一緒にしたら後悔するわよ!!」


律子はバット(野球の)を片手に宣言した。


男子3「面白れー!俺様のストレートを打てるってか!?」

律子「かる~く、打ってあげるわ!!」

男子4「泣いても知らねえぞ!!」

ミナ「付き合うって…野球??」

男子1「いや…メンバーが足りないんだよ……」


そして…律子は大いに野球を楽しんだ…が…


ミナ「リッちゃんたら、何やってるの?男の子と一緒に野球するなんて」

律子「うん……」

ミナ「もう少し、おしとやかに…」

律子「ゴメンね…ミナ……」

ミナ(アレ??反省してる??)


ミナは驚いた。まさかあの律子が反省するなんて思わなかったからだ…


律子「ダメな女でゴメン…」

ミナ「なんで…そんなに、へこんでるの?」


律子は落ち込んでいた……


律子「いつも、ミナの期待を裏切ってばかり……」

ミナ「ちょっと!?どうしたのさ??」

律子「勉強の時も、ミナの足を引っ張ったよね……」

ミナ「この程度でへこむなんて、らしくないよ!!」


ミナは律子を励ました。


ミナ「おてんばの、おバカさんにだって学習能力くらいはあるハズ!!」


が…はたから聞くと、とても励ましてるとは言い難い……


ミナ「次からは、女の子らしく…」

律子「え?凡退したのを怒ってるんじゃないの?」u

ミナ「凡退ってなんのこと?」


律子は腕組して言った。


律子「満塁のチャンスに打てなかったでしょう?」

ミナ「え?そ…そう…だっけ?…」

律子「ミナも悔しかったんだね?」

ミナ「いや…そうじゃなくて……」


律子は、バッティングフォームを確認しだした。


律子「良し!!ミナも応援してるし、今度は打つよ!!」 

ミナ「なんか違う!!勘違いだよ!!それ以上目覚めちゃダメ!!」

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