第15話・友達

律子は、親友のミナや友人の安田と昼休みの体育館に来ていた。

この時間は、多くの生徒達が体育館で遊んでいる。


安田「リッちゃん、まだ福座さんと友達じゃないの?」

ミナ「席が隣なのに?」

律子「いつも間が悪くて」

ミナ「でも福座さんの友達になったら、いつもかよわいって言われるよ」

律子「まさに、それが悩みの種…」


律子は、よそ見をしつつバスケットボールを楽しむ、男子の近くを歩いていた。


律子「あの子と友達になるには、もっと男らしい所を見せないと」

ミナ「え?女らしさの間違いでは?」

安田「ちょっと!リッちゃん!前見て!?」

律子「へ?」


バキッ!!


律子の頭に、バスケットのボールが直撃した。


律子「キュ~……」


ボールの直撃で脳震とうを起こし、律子は魂が出た…気がした……。


ミナ「リッちゃん!?しっかり!!」


跳ね返ったボールを、軽やかにキャッチする安田…

彼女はバスケット部だった。


安田「お昼の体育館って、危険ね…」

男子生徒「悪いね~良いフットワークだよ、一緒にバスケしない?」


伸びている律子を支えるミナの前に、福座 津奈(ふくざ つな)が現れた。


津奈「ちょっと…中川さん、どうしたの?魂が出てるよ??」

ミナ「福座さん??いつの間に現れ…じゃなくて、リッちゃんが脳震とうを!!」

津奈「相変わらず、かよわいのね?保健室に行きましょう?」


津奈は、律子を軽く抱きかかえた。


ミナ「え?普通に仲良し…」

安田「とっくに、友達してんじゃん…」


翌日……。

登校時に、律子は福座 津奈(ふくざ つな)と仲良く会話をしていた。


律子「ねえ?昨日のドラマ見た?」

津奈「見過ごしたのよ、後で内容教えて」

ミナ「…………」


教室でも隣同士の二人は、仲良さげに会話をしていた。


律子「なんと、犯人の恋人が…」

津奈「へえ~、意外な展開だね?」

ミナ「…………」


そして、廊下でも…。


津奈「この町って、ウニクロあるよね?」

律子「うん、駅前にあるよ」

津奈「そう言えば聞いてよ、前の学校から圭を訪ねて女の子がさ…」

律子「へえ~…」

ミナ「…………」


二人の仲の良さに、ミナは嫉妬していた。


ミナ「あの二人、仲良すぎ…」

安田「ちょっとアンタ、嫉妬してるの?」

ミナ「べ…別にそんなんじゃないもん…」

安田「まあ、わたしがいるから寂しくないよ」


放課後、一人で帰るミナ……。


ミナ「とか言いつつ…安田さんは部活に行くし…

どうせリッちゃんは、福座さんと帰ったに決まってる……」


寂しく不貞腐れるミナの前に、律子が現れた。


律子「ミナ!!何で先に帰るのよ!!」

ミナ「リッちゃん!福座さんは!?」

律子「福座さんとは友達になれたけど、ミナとはいつも一緒だよ」


ミナは、律子の友情に感激して抱きついた。


ミナ「リッちゃ~ん!!」

律子「な…なにごと??」


泣きながら抱きつくミナに、律子は言った。


律子「ミナの気持ちは、良く分かった!安心していいよ!!」

ミナ「え?何が?」

律子「ちゃんとミナの、お嫁さんになるからね」

ミナ「え??そ…それ…盛大な勘違い!!ダメだよ!!!!」

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