第5話・かよわくなった……

律子は自分が、かよわくない事を体育の授業で転校生、福座ふくざ 津奈つなに証明する為に気合を入れていたが……


律子「とか言いつつ…またしても気分最悪……」


律子は再び高熱に悩まされた…。


律子「でも…今日は…這ってでも…い…行かなきゃ…ま…また…福座ふくざさんに……」


律子は力尽きた……。


ミナと安田「エ~ッ!?リッちゃんまた熱出したの!!??」


律子を迎えに来たミナと安田は驚いた。


律子の母「あの子ったら最近まるで女の子みたい…どうしたのかしら……」


そう語る律子の母に対して二人は思った。


(お母さん…あなたの娘さんは女の子です……)


学校にて……律子が来ていない事に気付いた津奈がミナと安田に尋ねた。


津奈「ねえ?中川さん来てないけど」

ミナ「あ…福座さん」

安田「リッちゃん、また熱を出したんだよ」

津奈「やっぱり……」

ミナ「え?やっぱりって?」

津奈「あの子かよわいわよね?」

安田「リッちゃんが…かよわい!!??」


津奈の発言に律子を良く知る二人は耳を疑った。


ミナ「あ…あのね…福座さん…リッちゃんは……」

安田「そ…そうだよ…リッちゃんって子はね……」

津奈「お見舞いに行こうかしら?」

ミナ「え!!??お見舞い??」


ミナは津奈の予想外の申し出に焦った。


ミナ「ダメだよ!ダメだよ!リッちゃんは絶対安静で寝込んでるんだよ!!」

津奈「そ…それもそうよね、やっぱり辞めておくわ」


ミナは胸をなでおろし思った。


(福座さんのお見舞いなんて、リッちゃんには耐えられないと思う……)


三日後……律子の熱は下がり、ミナと登校した。


律子「結局、三日も休んじゃった…ダメな女でゴメンね……」

ミナ「何言ってるの?元気になって嬉しいよ」

律子「ミナは優しいね…わたしミナのお嫁さんになる」

ミナ「ちょっと…しっかりしてよ、わたしは嫌だからね……」


ミナは律子の言動が、かよわくなっている事に気付いた。


ミナ「あ…リッちゃん福座さんがいるよ」


二人の前を津奈が歩いていた。


律子「そうね…福座さんね……」


律子とミナの前を歩く津奈を見て律子は思った。


(あの人、苦手……さりげなくやりすごそう…)


律子「オハヨ~、じゃあね…」


律子は津奈の横を、さりげなく歩き去ろうとした。


津奈「待って!中川さん!!」

(ドキッ!!)


津奈は律子を呼び止めた。


津奈「身体の調子はもういいの?」

律子「お…おかげさまで、絶好調ッス…

わたし全然かよわくありませんから…」

津奈「やせ我慢はダメよ!!つらい時はちゃんと言わなきゃ!!」


律子は津奈に怒られた……。


津奈「あなたは、ただでさえかよわいんだから

わたしが守ってあげる。これからは安心して倒れてね」

律子(え??…ちょ…ちょっと……なんすか?ソレ……)


律子は津奈の申し出に今までに無いほどのショックを受けた。


律子「ミナ~!!わたし…かよわくないよね~!!??」


律子はミナにしがみつき泣いた……。


ミナ「え…えっと……」


ミナは思った。


(か…かよわい……)

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