007:開戦。囚われし罪と捨て去りし化物

規則正しく並べられた突撃銃の一つ。

世界中で意想外変異体ディザイヤ封鎖区画を設ける政策が行われた後、『Garumu』と共同開発を行っているDOORU・テクノロジー社がライセンスを購入。更なる改良を施したとされる『試作型DACR突撃銃アサルトライフル』を手に取る。

改良前のACR突撃銃の特徴である様々な弾薬やマガジンを使用できるという利点を更に拡張。共同開発によって製造された数十種にも及ぶ特殊弾薬の装填、弾頭の装着を可能とし、加えて従来の素材である合成樹脂とアルミ合金を希少な意想外変異体ディザイヤを原材料とし産出した、軽量変異金属、合金包含樹脂に変更したことにより、重量こそ数グラムほど増加したが、その試作型突撃銃の耐久値は劇的に上昇されている。

それは水没後の稼働、泥や塩が混入。凍結などによる過酷な環境での使用やアクシデントが発生した事態を想定したテストにも当然の如く合格。10万発もの連射を経てなお、その命中精度を維持できるという異質の性能を露わにした実験データによって確証されていた。


「 めちゃくちゃ凄いのは分かるんだけどさ、これ一丁作るのにどれだけ金かかるんだ? 」


取り付けたアタッチメントと照準の調整をしつつ、部外者として当然の問が漏れるがそれに対して未だ痛む傷は残るも急死に一生を得た『Garumu』の一員である導は無言の笑みで答える。

分かってはいるが、少なくとも現在それを手にしている柘榴の全財産を持ってしても購入できない金額なのであろう。

もし、この戦いで生き残れた後『Garumu』が使用した兵装の代金を請求してきようものなら彼の一生は返済に追われることになるのは目に見えている。


「 あの・・一応だけどさ、今非常時だから金の請求とかってのは・・・無しでお願いします 」

「 安心してください。もし請求された場合、生命保険を使用してでも私が払いますから 」

「 いや、それはダメでしょう!!なんて事を笑顔でいうんですか!! 」


そこにすかさず店主が割り込む。


「 なら、わしの死亡保険で払えばええ。どうせその内寿命で死ぬ 」

「「 縁起でもない!!! 」」


数分前までの凍え切った空気が和やかなものにかわる。

切り詰めた緊張感というものは戦場において大事なものだ。しかし、それがいつまでも続くと精神は次第に擦り切れていき、どこかのタイミングで冷静な判断を誤ることもある。

それを本能的に理解しているからこそ、少しの余裕が生まれた今空気を切り替えようと皆努めているのだ。


雰囲気を保ちつつも決戦の準備を続ける。


鏡の前に立ち。血塗れのシャツとズボンを脱いた。

それを目に店主の娘は「キャッ」と小さな悲鳴を上げるが、こればっかりは我慢してほしい。


『進化型』が『狙撃型』を捕食し、その能力を得ていると推測するに、”赤を執拗に攻撃する”という性質も引き継いでいる可能性は高い。故に現状の『進化型』へ襲撃を仕掛けるのならば、怪我一つ露わにしていてはならない。


鏡越しに出血している傷たちへ止血剤を張り、包帯を巻きつける。血が滲みこびりついている箇所には水をかけこすり落とし、それらを終えるとフックに掛けられていた清潔感のある軍服一式を身に纏った。


そして羽織った軍服にある四つの専用ポケットに特殊弾薬『5.56㎜貫通炸裂弾』を30発込めた弾倉を全て放り込み。腰のベルトには利き手側に手榴弾と、本来条例で禁止されているはずではあるが”何故か”整備されていた焼夷手榴弾を装備、その反対側には『変異型』との戦闘により傷んでしまっていた弾薬ポーチを取り外し、新たに可能な限り硝煙手榴弾を詰める込んだ爆弾ポーチを取り付ける。


太ももに装着している大型回転式拳銃マグナムリボルバー用ホルスターのベルトを締め直し、激痛に悶え苦しんでいた際勢いあまって放り投げてしまった『D2マグナム』とナイフも回収した。


更に整備されている装備たちを手あたり次第に漁り、使えそうなものは台に並べ、それ以外は床に放り投げてゆく。

心情的には現状でも十分なフル武装だといっていい、だが一人で災厄と呼ばれるモノに挑もうとしているのだ、これでも全然足りないと考えるべきだ。


本来ならこれら超高額な武器や薬品などは触れる事すらおこがましいと謙遜してしまうものだが、心に「非常時だから」という便利言葉ワードを浮かべると瞬間にして一切の遠慮を無くすことが出来る自分自身を褒めたいと思う。


普段の私生活ではこんな事はしない。してはいけない。

非常時だから、許されるのだ。非常時だから、仕方がない・・・やはり便利な言葉だ。


「 お兄さん。その表情・・・気持ち悪いです 」

「 娘ちゃん、以外と言うときは言うねぇ・・ 」


年下の女性からくる遠慮ない一撃。これが若さか・・・

心にくる少しの痛みをそのままに準備を続ける。


あまり時間をかけることはできないが、確実以上に必要なものを揃えなければ。

そうして数分後ある程度の装備を集結、準備を終えた後、皆に一時的に音を発さないように指示。静音の中防音機能をも備えた厚いスライド扉をゆっくりと開き、一人輸送車の運転席へと身を屈めて侵入する。

心に緊張感を戻し、慎重に周囲を警戒。


気配を沈めつつ、フロントガラス越しに外の様子を視察した。


この輸送車の荷台では運転席には採用されていない防音措置も追加施工されている為、中からの音が外に漏れる心配はない。故に彼は痛みを乗り越えるためになんの迷いもなく絶叫の変わりに怒号を吐くことができたのだ。

しかし、防音措置があるということは『外からの音が聞こえない』という事にもなる。


そして目に映った光景はまさに予想通りのものであった。


『D2マグナム』によって破壊したシェルターの出入り口。そこは木々もなく所々に大小様々な石が転がっているだけで他には高くても膝下程の雑草が生い茂っているだけの整備されていない草地にぽっつりとあった。


その草地を抜けるとガードレールがいくつか配置されている二車線道路。その先には駐車場、店主の飯屋とあり、現在地であるシェルターの出入り口に待機している輸送車から店前までは約200m程の距離が見て取れた。

目安によって知りえた距離、そして襲撃を仕掛けてきた個体の、脚を射抜く球頭の威力から推測するに、『狙撃型』は駐車場を狙撃場所スナイプボイントとしていると簡単に予想出来る。


しかし、その駐車場にあるのは柘榴の愛車である原付、燃料が切れた為に乗り捨てられたのであろう数台の放置された自動車、そして圧倒的な違和感、存在感を現わしている巨大な肉の大岩。その巨大物を中心に広がる赤の水たまりだけであった。


運転席に移動してから耳に入り続ける、肉と肉がぶつかり、揉まれているかのような生々しく嫌悪感を抱かせる音たちはその大岩から発せられていた。


確かめるまでもない、その正体は『変異型』『狙撃型』を得たことにより更なる進化の為、変異を繰り返している『進化型』である。


荷台から持ち出していた小型の双眼鏡で標的を更に観察。

現状のソレは高さ2,5m。幅1,5mといった所だが、それは腰を折っているにすぎない。完全なる変異を完了し二足歩行状態になれば5mを超える巨体となるだろう。


しかし、標的が変異によって動きを止めている今こそが与えられた最後の猶予だ。


欲しかった情報は得た。


双眼鏡をしまい、ゆっくりとした動作でハンドルの横に設置されている小型タッチスクリーンの起動を試みる。


輸送車自体はエネルギー枯渇問題。それによって開発を急かされ近年完成した高性能軽量バッテリーを搭載した電気自動車となっていた。一度の充電で丸2日から3日は走り続けられる程であるが損傷などによる漏電があればそれもなくなってしまう。


不安をよそに問題なくホーム画面を表示するスクリーンを目に胸をなでおろす。


充電を確認・・・問題ない。


そこまで確認し、再び扉を開き荷台へと戻った。

張りつめていた緊張を解き、大きく息を吐きだす。そして心に再度余裕を持たせ、皆へと視線を向けた。


「 よし、それじゃあ、娘ちゃん。それから生命保険と死亡保険。作戦会議だ 」

「 もはや発言が私たちをお金としか見てない闇金業者なんですが・・・ 」

「 いや、ワシが若い頃に相手した闇金でも名前くらいは呼んでくれたぞ 」


発言に対してツッコめれば十分余裕があるだろう。

ニカっと大袈裟な笑みを浮かべ、心に残る不安を隠す。


そして努めて明るい声色で口を開いた……



ーーーーーーー


空はまだ夕日を迎えず、明るい陽光を地へと降り注いでいる。

雲もなく青一色の晴天は、まるでその下が今まさに戦場となろうとしている事実から目を背けているかのように無常にも美しい光景を表していた。


そんな陽光が生み出す、自動車の影に身を潜め音を立てぬように作戦への最終準備に係る。


肩に下げていたDACR突撃銃アサルトライフルを小さく構え異常が無いことを点検。その後取りつけた弾倉を排出。その中に『5.56㎜貫通炸裂弾』が確かに装弾されていることを目視、再度それを挿入しコッキングレバーを引き薬室に弾を送る。しかしすぐに戦闘を開始する訳ではない。誤射を防ぐ為安全装置セーフティーが確かにかかっている事を確認した。

専用ポケットに装備している弾倉を含めて特殊弾薬は150発・・・準備完了。


今度はベルトの両側に取り付けた手榴弾とポーチを手触にて確認。

手榴弾と焼夷手榴弾が一つずつとポーチの中には硝煙手榴弾が六つ・・・準備完了。


突撃銃を戻し真横に置いてある小型リモコンを手に取る。そしてその入力先である兵器を設置した数か所に視線を巡らせた。

草や岩などそれぞれ周囲にある身近なものでカモフラージュを被せたソレはソフトボールを一回りだけ大きくしたような僅かに片手で握りしめるには厳しい金属球という見た目の『偽映像模型囮ホログラムデコイ』であった。それも映像だけでなくリアルな音も発することが出来る改良が施されていている『Garumu』特製の新兵装だ。


更に起動後、展開された『偽映像デコイ』にその姿を隠すように設置した携行型自動機関銃オートタレットが五基・・・目視にて確認完了。


視線を戻し、リモコンを再び置く。

最後にホルスターから『D2マグナム』を取り出す。

シリンダーを展開。シェルターの扉を破壊するのに2発の弾薬を使用した為、装填されているのは1発。輸送車から新たに3発の専用弾を拝借できたのが救いであった。


これこそがこの戦いにおいての切り札だ。


ゆっくりと1発ずつ弾を押し込んでゆき、一度に納めることができる最大数である3発の専用弾を装填完了。これで全ての準備が完了した。

『D2マグナム』をホルスターに戻し、ポーチから硝煙手榴弾を一つ取り出し、心を落ち着かせる。


僅かに顔を出し標的を視認。

ここまでの準備でわかったのは、『進化型』は次のフェイズへの変異を始めると周囲に対する警戒が大幅に弱まるということだ。

常に音を潜めて活動していたとはいえ、新たに取り入れた部位は鉄の脚。道路や駐車場などコンクリートで整理されている地面を進むとどうあっても「コツッ」という金属特有の衝撃音がなってしまう。にも関わらず、作戦の準備を張り巡らせている際標的である肉の大岩は一つのアクションもおこさなかった。


警戒が弱まったことによって気付かれなかったのか、それとも気付かれてはいたが変異を優先する為に敢えて無視されたのか・・どちらにしても好都合だ。


おかげで思いつく限りの戦略を最大限に引き出すための準備は全て整った。

作戦開始の所定位置は標的から約80m離れた場所である駐車場を入ってすぐの放置されている自動車の裏。


張り詰めた緊張に手汗が滲む。


これまで蓮に連れられて足を踏み入れたどの戦場でも”1人”で闘った経験など一度もない。そもそも人外の力を放つ意想外変異体に対して単体で挑むなど自殺行為も同然なのだ。

それが『巨人型』など強力な硬皮と肉体を持つ個体なら尚更。『進化型』など論外。


ここが大部隊を編成して挑む最前線であるのなら、そのような愚行を晒したものは例えその命が尽きようとただの阿呆だと罵られるだろう。

しかし、この状況は違う。そうせざるを得ないのだ。挑まざるを得ない。


もはや孤立安全区を護る為などという大層な理由の為に戦うのではない。純粋に、ただ純粋に惚れた女性を護る為に命を賭けて戦う。


ゆっくりと目を閉じ、手にしていた硝煙手榴弾のピンを抜きセーフティーレバーを強く握りしめる。そして脳裏に作戦開始のカウントダウンを浮かべた。


5・・4・・3・・2・・1・・


「 おぉぉぉぉぉ!!!! 」


頭に浮かぶ0のカウントと同時に、目を見開き精一杯の気合を吐き出しながら手にしていた硝煙手榴弾を放り投げる。加えて3秒後の爆破に続くよう新たなものをポーチから取り出し要所へ連続投擲。


開戦。確かな敵意を感じ取った肉の大岩から発せられる狂気の咆哮。しかし、それを遮るように巻き起こる爆発が1つ。それに続き3つ。


瞬時にして爆破から巻き起こった黒煙は周囲一帯を包囲した。標的のリアクションなど確認する必要もなく、流れるような動作でリモコンを手に取り入力。


『 標的を包囲!!撃ち方はじめぇぇぇ!!!! 』


視界を遮る煙によってハッキリとした認識能力を阻害。その恩恵により更なるカモフラージュを手に入れた10数個の『偽映像模型囮ホログラムデコイ』が起動。

映像器ホロスクリーンから赤の軍服を身に纏った兵士たちの虚像がそれぞれに現れ、収録された音声を内蔵スピーカーを通して大音量で発する。


黒煙を纏い出現する見掛け倒しの小隊に銃声たち。


しかし、デコイに混じる実存の脅威。設置していた自動機関銃オートタレットを全基展開。


偽映像ホログラムを隠れ蓑とし展開したそれらは、予め追従自動照準によって狙い定めていた標的へ寸分外さずの一斉掃射を開始した。

当然の如く装填されている弾薬は通常の機関銃に使用するものとは違う『対・巨人型』を想定した12.7㎜特殊貫通弾である。


巻き起こる黒き煙霧を裂き、暴れ狂う激しい銃口炎の群れと収録された怒号。リアルとバーチャルが合わさった銃声たちの斉唱。


次に動くのは自分自身だ。

偽りの小隊による掃射へ混じ紛れるように突撃銃を構え、安全装置セーフティーを解除。視認によって確認していた場所へトリガーを引き続ける。


確かに強大な個体を相手に一人で挑むなど自殺行為だ。なら、対象に相手は”単体ではない”と思い込ませればいい。

単騎での脅威と、黒煙を纏ることによって視認の外から来る大多数からの威迫。その差は考える必要もなく歴然だ。

危機察知能力。生存本能をもつ生物であるなら警戒せざるを得ない偽りを作り出し、先手の優勢を手にする。それこそが災厄を払い除ける為に必要な第一の策。


全身にかかるフルオート射撃による反動。加えて輸送車に射撃用ヘッドホンが搭載されていなかった痛手が耳を刺激し、周囲と放つ弾幕の嵐からくる爆音が鼓膜に突き刺さる。


しかし、そんな事で怯むような暇はない。


姿勢を屈め、所定位置から次の自動車裏ポイントへ移動。更なる角度からの掃射を再開。


それによって複数の射角から襲い来る線の大群を演出する。


標的の知能指数は低くいうえ、絶え間なく襲い来る凶器の嵐をその身に思索の余裕はない。

思惑通りなら、これだけの掃射能力に認識阻害の黒煙が合わさっている現状、少なくとも敵が単体だとは露とも思わないだろう。

更に各発射機から放たれるその全ては硬皮を持つ標的を抉り穿つ為に製造された特殊貫通弾。無傷で済むはずもない。


トリガーから指を放し、チラリと視線を作戦用に装着した腕時計へと回す。


作戦開始から3分経過。


視界の殆どは黒の煙霧とその奥で輝く閃光の炎で埋め尽くされ、一帯を支配する音は戦場が吐く凶器たちの斉唱のみであった。


しかし、視界を前面に戻した瞬間、そこから発せられる激憤の咆哮。

それは瞬時にして凶器たちから斉唱の権利を剥奪し、新たな支配者として一帯の空気を振るいあがらせた。

更には大気だけでは飽き足らず、覚悟を決めた戦士の心さえも寒慄させる。


内を巡る細胞の全てが『逃げろ』と叫び狂っているかのように、全身から汗が噴き出る感覚。

しかしそれを成果と認識しぎこちない笑みを浮かべて見せる。


咆哮を上げたということは、確かにダメージを与えているということの証明。そしてそれこそが第二の策を発動する為に待ち望んでいた合図。


震える拳に力を籠め、喝を留める。

迷いなくポーチに残った全ての硝煙手榴弾を投擲、視界を蔽う黒き煙霧の支配域を更に拡張させた。


そして投げ放った全てが着地と同時にその効果を発現したことを微かに入る爆破音から確認し、ポケットに放り込んでいた短距離用無線機を顔前に「行け!!」と一つ叫びを上げる。


無線機を降ろし、煙霧の先にある輸送車へ視線、聴覚を集中。すると耳に入る、電気自動車特有の静かなエンジン音。その後草木を抜け道路への走行を始める音に少しの安堵と達者を願う思いを胸にした。


音の正体である3人を乗せた輸送車が戦線を離脱し、自動運転オートドライブによって桂浜基地へと向かったのだ。


作戦の第二段階は完了。

これで基地に到着した3人の命は助かる。更には今だ妨害工作によるものなのか長距離無線が不能となっている影響で報告できていない。標的が『進化型』であったこと、より強力な武装をとった応援がすぐにでも必要ということをも要請できる。


あとは時間を稼ぐ。或いは・・・自分自身で決着をつけるだけだ。


作戦の第三段階を開始。


役目を終えた無線機を投げ捨て、再び突撃銃を構えるが、引き絞ったトリガーからは「カチッ」という乾いた音が発せられる。

コッキングレバーを確認。弾詰まりジャムではなく、純粋に弾倉の弾を撃ち尽くしただけだ。

通常よりも弾の消費が尋常ではない程に早いといった錯覚。訓練により銃器を発砲する際、残弾は常に頭で数えるという癖を身に着けているはずであったが、やはり緊張、そして焦りともとれる心情を完全に掌握することは出来ていないこと実感する。


無意識に出る舌打ちと共に空となった弾倉を排出。


冷静に行動しろ、なによりも培ってきた自分自身の力を信じろ。


心に落ち着きを訴え、取り出す新たな弾倉を装填リロード。掃射を再開した。


そうして戦場にあるのは一人の人に囚われし罪意想外変異体と、一体の人を捨て去った化け物進化態


これは人が人を捨てた為に振り下ろされた天罰なのかもしれない。

化け物となった人と呼ばれていたモノたち、そして化け物になりきれず人という種に囚われたモノたちの愚かなる同士戦。


しかし、彼らは戦うことを止められない。

それは生きたいという欲。或いは”戻りたい”という人の哀しき想いによるものか・・・


彼らは戦う。自らの願いの為に・・・


雲一つない晴天はそんな彼らをあざ笑うこともなく、ただただ見て見ぬふり。無常なる美しさをそのままにしていたーーー

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