臆病な羊


全部がつまらないって顔をして

人の目を見ずぼそぼそ話す

分厚い眼鏡のその奥の

夜の海のような色の瞳に惹かれた


何に怯えているんだろう

何を諦めてきたんだろう

何が好き?

どんな風に笑うの?


こっちを見てほしかった

だけど君からすればおれは

ただの風景の一部だ


君を目で追っていると

変わり者だねと揶揄される

その度におれは

誰も君の魅力に気づいてないことに安心する


誰にも見つかってほしくなかった


その夜の海のような特別な瞳が

炎のように揺れたり

ありふれた恋に染まったりしてほしくなかった


これからも一人ぼっちでいてね。

一人で生きて、一人で死んでね。


心の中で呪詛を吐く

おれのものにならないなら

誰のものにもならないでと


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る