弱さ
大抵のことは運とタイミング
どっちが先に出会ったかって話だろ
原曲知らずにカバーを聴いたら
原曲に違和感を覚えるのと同じ
そう言って彼は
眉を顰めた
ちらりとわたしを見て
そっぽを向いた
レンタルショップの値引きコーナー
数年前に流行ったバンド
今じゃ山積みになっているCD
悲しそうに彼は見つめた
流行ってクソみたいだよな と呟いた
人混みで舌打ちする人に
舌打ちを返すような
弱くて精一杯な人
「不安なの?」
「はあ? 何が?」
彼は苛立った様子でわたしを見る
その目はいつだって
捨てないで嫌わないで呆れないでって
怯える子供のようだ
「可愛いね」
「はあ? ふざけるなよ」
彼の髪を撫でる
その口角が堪えきれずに嬉しそうに上がる
余裕のなさも、繊細なところも
傷つく前に予防線を張るそんな弱さも
「やっぱり可愛いよ」
何度も言葉にして愛を伝える
今まで彼が足りなかった分
埋めるように
ここにいて欲しいって伝える
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