第2話 日ノ音

 私は見た。あの日、光に包まれた瞬間を。忘れることのない瞬きを。いつだって喜びは苦しみにしか生まれないというのに私はそこに呆然とたっていた。

「私、羽が生えたみたいなの。」

飛び立って知る情緒にふわりと舞い落ちる私のスカート。

「ねえ、私、このままどこまでも行けると思うの。」

「そうだね。」

遠のいていく日が、霞んでいく記憶が溶けていく。このあたたかな陽だまりに、いつまでも続く白昼夢に、この話を置いていこう。

「私は僕ではないし、僕は私ではないの。それでも私は僕が嫌いなの。」

「そうだね。」

凍ったままの世界から去って、私は永遠を願った。何度だってこの夢を繰り返す。明日も君も要らない。私だけの世界。行方知らずに望遠鏡を覗いた。

「またここから永遠が見える。」


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