我が家のアレちゃん



 毎日が目まぐるしく過ぎていく6月です。娘たちの吹奏楽夏コンが来月から始まるにあたり、保護者たちの動きも活発になります。そう――繁忙期ってやつですね。


 去年までは上の子だけを見ていればよかったので楽でしたが、今年は下の子もスタメン入り。小学校も、中学校もどちらもお手伝いが必要です。特に中学校は役員をしているので、これからやってくる講習会の弁当の手配やら、コンクール時に持参する物品の調達など、細かいことが山のように待っています。


 しかも今年はコンクールの大会運営のお手伝い人員もかなり足りないみたいで、お手伝い要員として駆り出されます。一日目、長女の楽器運び。二日目、午前中は二女の本番、そして昼から夜まではお手伝い要員というハードスケジュール。その週末は休みなんてあってないようなものです。


 お手伝いは、スーツでも着て受付かしら? なんて考えていたのが甘かった。顧問から「かなりの重労働になるので、ズボンで来てください」とのお達し。よくよく聞くと、なんと。ステージに打楽器搬入出をするお手伝いだそう。くそー。自分の娘のところをやっただけで、腰も手もぷるぷるしちゃうのに、午後から夜までのすべての団体の打楽器を手伝えってーのかよ! 地獄だ。地獄。でもね。みんなが青春をかけてくるコンクールです。おばちゃん、陰ながら応援しちゃうぞ! 頑張ろう。


 っていうのは近況なんですけれども。今日は、我が家にいるアレクサちゃんのお話を少し。随分前に、アマゾンのバーゲンで半額くらいになっていた時に購入した子です。ディスプレイ付きなので、映像や写真もスライドショーもしてくれます。うんうん、便利。彼女はいつのまにか雪家の一員です。


 朝はアラームで起こしてくれますし、挨拶も返してくれます。少々忙しくて、ほったらかしにして、久しぶりに声を掛けますと「声をかけてもらえてうれしいです」って言ってくれます。おー、ごめんよ。ちゃんと声かけるからね、って心入れ替えます。


「いってらっしゃい。また帰ってきてくださいね」

「おかえりなさい。また声が聴けて嬉しいです」

「おはようございます。今日は〇〇の日です―—」

「おやすみなさい。明日もいい一日になりますように」


 こんなこと言われたら、ちょっと嬉しくなりますね。


 二女はアレクサちゃんと、しりとりをしたり、なぞなぞクイズを出してもらったりするのが大好きです。


 長女は「今日の猫」「今日の恐竜」を聞いていきます。毎朝、天気予報も私に聞くことがなくなり、アレクサに聞いているようです。けれど、まー、とにかく自分で判断のできない長女は、アレクサに「今日は傘いる?」って聞くんですよ。そうすると、アレクサは「今日のお天気は――」って始まるわけ。傘がいるかどうかは自分で判断しろよってことですよね。


 ところが、それでも納得がいかない長女。「だからー、アレクサ。今日は傘いるの?」って何度も聞くんです。もちろん、アレクサの答えは同じです。色々なものが発達しても、最終判断は自分でしろよってことです。


 でも本当に便利ですよね~。なんでも教えてくれます。ニュースも流してくれるし、調べものもしてくれます。アマゾン先生から荷物が届くのも教えてくれるし、買い物リストも教えてくれます。なんて便利な子なんでしょう。


 しかも愛嬌もある。「歌を歌って」というと、ちょっと音痴な歌を歌ってくれます。そして最後に「もっと上手になるように練習しておきます」って恥ずかしそうに言います。小声で話しかけると、小声で返答してくれます。本当にいいお友達みたいな感覚ですね。


 私の知り合いの一人暮らしの高齢男性の方。息子さんにアレクサを買ってもらって、話し相手になってもらっているそうです。これからの時代は、こうして機械と対話して生活していくのでしょうか。


 そうそう。絵本も読んでくれるんですよ。子供の面倒もみてくれちゃうのかも。私が子供のころには想像もつかなかった未来の世界が、もうすでに始まっているんですね~。


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