ウン十年ぶりに楽器を吹き始めました。


 ここのところ、娘二人が吹部、吹部ですから。もうずーっと吹部の話ばっかりですみません。


 週末は長女のトランペットのマウスピースを購入しに行きました。製作者の方が直々に来てくださって、相談に乗ってくれるということです。これって高いのではないか!? オラ、場違いだったらどうしよう。ネットで値段を見てみると、諭吉さんが何枚も必要な予感です。予約したのにね。前の晩は眠れないですよ。母は怖い!


 で当日。色々と試しに吹かせてもらったり、苦手な高音の出し方をレクチャーしてもらったり。娘にとったら、すっごく充実した時間だったようですが。結局は、「ゴールドだと1万あがりますけど、どうします?」って言われたら、そりゃゴールドが欲しいに決まっているじゃないですか。せっかくの機会ですからね。いいですよ。1万円くらい。いいさ。その代わり、夏コンがんばれや!


 先日、二女が講師の先生に誘われてサークルに行きたいといい始めました。そのサークルは、小学校に講師で教えにきてくれている先生が、小学校や中学校の卒業生たちを一本釣りして、人を集めて作った、お楽しみサークルなんだそうです。


 ですから、参加しているのは社会人から小学生まで。幅が広いです。中には、プロの方も所属していて。まあ、毎回練習には来ない人も多いですが、イベントとなると、何十人もの人たちが集って、わいわいと楽しく昭和歌謡や、ポピュラーな曲を演奏します。だから、コンクールとは無縁で、ともかく「音楽って楽しいぜい」ってみんなでいえるような緩いサークルです。


 長女も去年から参加していまして、楽器がないとお話しますと「私の貸すよ」って。え。先生トランペット持っているの? よくよくお話を聞くと、先生から楽器を借りている子が多いこと。一体、どんだけ楽器を保有しているのでしょうか。


 長女が借りた楽器は、そういいものではありません。ニッカンのトランペットで。オークションで数万で落としたって言っていました。けれど、なかなかいい音が出ます。参加している人たちの中には、マイ楽器を持っている子も多くて、ドイツ製のすげえやつを持っている子もいれば、スチューデントモデルの超安いので、いい音出しちゃう子もいます。


 小4の二女は、そこに行きたいっていうわけです。でもね。楽譜もろくすっぽ読めないんですよ。一人でぽつんではかわいそうかと思って、初回、隣に付き添って、音符を読んであげたり、今どこを吹いているのか指でたどってあげたり。色々教えてあげたんです。すると、どうでしょう。小4ってちょっとなめていたんですが、初見でも吹けるところは吹けるみたい。特にうまいのは「高校三年生」ね。昭和の名曲は今時の子供にもぐっとくるらしい。


 いつも小学校で超難曲ばっかり練習している彼女は、ポピュラーな曲を吹くの、すごく楽しいみたいで、毎回毎回練習に行きたがります。一方の長女。「おら、忙しいいから」なんて言い訳ばっかり言って。楽器を借りているくせに、全然練習に行きません。この野郎。中二病め。


 で、致し方がないので、私が練習の付き添い。するとそれを見かねたのか、先生が「お母さんにもクラリネット貸すかい?」って。楽器を貸してくださったんです。


 おうおうおう。どうしようか。約二十年ぶりですよ。楽器吹くの。娘と一緒にクラリネットを吹くときがくるなんて、思いもよりませんでしたが。ああ、結構指使い、覚えているじゃないか。息と口が持ちませんが、なんとか吹けなくはなさそう。久しぶりに合奏してみると、——音楽って楽しい!


 私の隣で吹いている子は長女の先輩です。小学校時代は吹部でしたが、今は吹部にはいない。なんで? 長女に聞いてみると、二年生の時に吹部の中で仲間割れが起きて、その子やめちゃったんですって。えー。もったいないよ。すっごく上手です。ソロもすいすい吹いちゃうし、楽器も二台も持っているんですから。高校になったら、きっと吹部に戻るんでしょうけれども。なんだか本当に惜しい人材です。


 今年の中学校は、木管の三年生が本当に少ないんです。分裂したときに半分くらいの子がやめちゃったんですって。だから、主力は二年生たち。ねえ、三年生がいたらさ。全然違っただろうね。長女の同級生たちも、どんなに心強かったことでしょうか。


 集団って本当に難しい。私が社会人で所属していた合唱団でも、仲間割れがあって、すごくうまい人たちが辞めていきました。音楽を作るという目的をもって集まった仲間なのに。分かり合えない人たちがいるんですよね。特に、こだわりがあったり、音楽づくりが違ったり。単純に「好き、嫌い」があったりね。色々な理由で分かり合えない人たちっているんだなって。


 でもそのサークルがあるからこそ、その子もこうして楽器を吹き続ける場所があるってわけで。とってもいいことだなって思います。


 学校はね。コンクール一直線ですからね。楽器を再開したのを機に、調子にのって小学生の娘の楽譜を練習してみましたけど。無理でした。こんな難しいの吹いてたの?って驚きました。テンポ早いこと、早いこと。80から始まって、100でギブでした。本当のテンポは138ですよ。あのね。楽器じゃなくて、口で歌ったって音符が追い付かない速さですから。小学生おそるべし。全国目指す子たちって、確かに修業ですね。楽しいって思えるのは、いい結果を得たときなんだろうね。


 音楽にはいろいろな楽しみ方があるんだなって思います。ということで、執筆も滞っているのに楽器を再開した雪でした~。



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