ぽっかりと空いた穴は、なかなか埋められない。



 とうとう土曜日まで残すところ1日となりました~。雪家の三人は元気に過ごしています。


 長女は久しぶりのお泊りにウキウキが隠せない模様です。昨日、部屋割りが決まった! というので話を聞いてみると、どうやらビジネスホテルで一人部屋らしい。「一人部屋だ~、嬉しい!」って喜ぶ娘ですが、ちょっと待てよ。おうおう。一人で寝て、起きられるのかよ、って話です。その話をすると、途端に娘の顔色が青ざめます。


「どうしよう。オラ、一人で起きられないかも」


 どよーんと落ち込む長女。ともかく私に似て、マイペースで周囲に置いて行かれることが多いタイプ。友達に「どこか行くときは必ず声かけて」ってお願いしておけよ、ときつく言い渡しました。大丈夫だろうか。……と彼女の心配をしている場合ではない。私も次女を連れて、当日見に行く予定なんです。


「オラ、新幹線で行けるかな……」


 自分が心配だ。無事にたどり着けるだろうか。


 実は今回の大会、小学校の時もほぼ同じメンバーで出場しています。その時は1点差で全国を逃したという残念なエピソードつき。コロナ禍前だったので、会場で結果を聞いた子ども達が泣き崩れた姿、今でも忘れられません。さあリベンジなるか。昨日あたりから、自主的に朝練も始めた模様。頑張れよ~。青春っぽくていいな、いいな。


 うちの子は、順調に中学生活を謳歌しているのですが、やっぱり思春期。同年代の子を持つ親御さんたちと話をしていると、色々な問題があるようです。


 長女の友達で、お父さんの異動と伴に二年くらい地元を離れた子がいます。彼女、中学校入学と同時に、再び戻ってきました。一緒に吹奏楽やっていた子だったので、長女は「よかった。戻ってきたよ」って嬉しそうに話していたんですけれども。


 結局、その子は学校を休みがちになって、部活にもほとんど来なくなってしまったようです。一応、大会メンバーには名前が入っていますが。残念なことです。しかしその子、学校以外の場面には顔を出してくれます。先日も、娘が所属しているサークルの演奏会を観に来てくれました。「学校」以外だったら来ることが出来るんですね。そんな調子だから、会っても友達とは普通に話が出来るみたいなんです。


 うーむ。私の時代だと、学校に来なくなるっていうのは、友達関係がうまくなくて、って子が多かったイメージがあります。いじめられていたりね、喧嘩したりね。それで足が遠のくってことです。でも、今の時代は、そうではない子が多いみたい。友達との関係は築けているんです。ラインもするし、声をかけると気軽に遊べるわけですね。ところが学校には来られない。これは一体、どういうことなのか。友達が理由じゃないとすると、彼女の心の中で一体、どんな葛藤があって、どんな不安や悩みがあるのかなって、色々と考えてみたりするわけです。


 思春期とは多感な時期です。人が人を形成する根っこは、やっぱり生まれた家族だと思うんですよね。彼女の中には、学校だけじゃない、家族のなかの思いもあるのかも知れないな、と思います。家族との関係性は、疎遠なだけではありません。密着しすぎってこともあるのかも知れません。なにはともあれ、理由はわかりませんけれども、友達同士、顔を合わせることが出来るなら、是非少しでも足を運んで欲しいな、と思います。


 色々な人の人生を覗き見ている仕事です。いくつになっても、親の愛情を求めて、自分で自分を苦しめている人によくお会いします。先に逝ってしまって、もうなにも応えてはくれない、なにも与えてはくれない親に愛情を求めても救われないのに。それでもその愛情にしがみついて、欲するという姿は、傍から見ていると切なくなるばかりです。なんらかの理由で小さい頃に空いてしまった穴は、どんなに求めても、どんなに他の愛情で満たしても、決して満たされるものではないのだな、と痛感しています。


 さあ、我が子はどんな大人になるのでしょうか。私の愛情は、彼女たちの心を少しでも満たすことが出来ているのでしょうか。正解はないけれども、きちんと向き合うってことをしていれば、きっといい結果になる。そう信じて子育てをしていますが。とっても不安になります。子育てって、なにがよくて、なにが悪いのかは、子どもが大人になってみないとわからないですもんね。あんまり苦しむことのない人生を送ってくれると嬉しいな。


 毎日、楽しく出かけている長女の後ろ姿を見ると、「勉強できなくたって、こうして楽しく通ってくれるのは、幸せなことなんだな」と実感しています。子育てって難しい~。




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