成年後見制度


 いやあ、やっと忙しかった夏休みは終わりました~。なんとか宿題完了。呑気な長女には「夏休み終わりまでに宿題できなかったら部活辞めさせる」と脅し脅し、やってもらいました。


 しっかり者の二女はとっても楽です。長女の時、読書感想文書きの手伝いをしましたが、まあともかく「それってどんな漢字?」って漢字が書けなくて、倍の時間を要しました。しかし、二女はそんなことはない。「それは習ってない」「それは習った」って。漢字をすらすら書いてくれるものですから、すっごく楽。同じ親から生まれてきたのにね。どうしてこうも違いが出てくるのでしょうか。


 そのおかげでエッセイ、しばらく放置していましたね。さて、久しぶりに開いてみたエッセイです。なにを書こうかなあ。


 ここのところ、仕事で「成年後見制度」案件が立て続けに入ってきています。身寄りがない、家族も高齢だったり、病弱だったりして、本人の財産管理などが出来ない。後見人をつけるっきゃない! って案件ばっかりです。


 一つはスムーズに進みました。家族が高齢で「もう面倒見切れん」って話。職場でいつもお願いしている司法書士さんに書類作成を依頼したので、思ったよりも早く後見人が決まりました。財産多いからね。弁護士になるのかと思っていましたが、身上監護が優先されたのでしょうか。後見人は社会福祉士さんに決まったそうです。


 しかし、ここからが大変なんですよね。社会福祉士さんは、認知機能がかなりおっこちた状態の本人とは初対面。その方がどんな生活を望んでいるのか、想像しながら、状況を踏まえながら、色々な支援をしていかなくちゃいけません。


「施設どうかしら? ちょうど空いているところあったんですけれど。雪さん、どう思います?」 って朝一で電話きました。正直言って、おいらもそう関わっていた人じゃない。出会ったのはつい最近で、その方がどんなことを大事にして生きてきたなんてわからないんです。二人で「うーーん」って唸ってしまいました。まあ、状況的に、今の環境は劣悪ですからね。施設に入るのがベターでしょうけれども。


 もう一つはスムーズにいかないケースでした。病弱の家族がどうなるかわからないもので、本人に後見人をつけようって動いていたんですが……なんと。訪問診療の医者がね「後見人なんて悪いことする人しかいないよ。お金使い込みされるんだから。やめたほうがいい」って言いだして、家族も「それならば、お断り」って話。


 これやられると本当困る。確かにね、過去には(今もいるのか?)、かなりあくどいことをした輩がいたのは確かです。けれども、後見人ってそう悪いことばっかり出来ないような仕組みにされているわけで、毎月一回、家裁に細かい書類を提出させられて、チェックされているんですよ。施設に入れるのも、家を売るのも、そういうのだって、一々細かく聞かれるわけで、そうそう安易に悪いことが出来るとは思えません(それでもやる人はいるのかもしれないけれど)。


 誰にあたるのかは、家裁の判断しだい——。くじ引きみたいなものです。誰にあたるかで、人生大きく左右されると言います。弁護士系だと、どうしても財産管理が優先されて、身上監護が手薄い。弁護士が担当になると、すぐに施設に入れられる、なんて噂がゼロではない(在宅で細かい調整するよりも、施設入ってもらったほうが、それは楽だろう)。


 けど、じゃあ弁護士に当たったから「残念か」というと、まったくそういうわけでもなく。弁護士さんだって、すっごく温かい人がたくさんいるわけです。知り合いの弁護士さんは、ちっさい中古の軽自動車でやってきます。弁護士だからって、贅沢しているわけじゃあない。離島で必死に活動してきた経歴を持つ方です。SOS出すと、すぐに飛んできてくれて、法律相談だって乗ってくれる(無料の範疇は決まっていますが)。


 でもどっちかと言えば、認知症があって、介護がすっごく必要で——みたいなケースは社会福祉士が選定されることが多い。そもそも対人援助のプロですからね。本人の気持ちに寄り添って色々マメに支援してくれる人が多いから、なのでしょう。


 後見人ってさ。本当に大変な仕事だと思いますけれども、それでも「我こそは」って名乗りを上げて担ってくれている人もいるわけで。本当に頭が下がりますね。報酬だって、本人の財産に応じて決まるので、費用対効果を見てみると、ただ働きみたいなケースもあるようです(その時は行政で負担する予算があるようだけど)。


 国は今、本人の意思決定支援を推し進めようと動いているようです。その中にこの「成年後見制度の活用促進」ということも含まれます。自分が年老いた時、通帳手放せますか。人に預けることが出来ますか。後見人の世話にならないで済むように、若い頃から考えておいたほうがいいな、と思う今日この頃です。


 おいらは娘になんとかしてもらわないとだな。財産を築けるような仕事もしていませんし、きっと老後は自分の生活をするので精一杯なんじゃないかしら。なにも残せないけれど、自分の金は自分の生活賄えるくらいあればいいと思っています。あー、施設に入るようになると、手出しが必要になるか? そうならないようにしなくちゃいけませんね。




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