第13話 傷ものハイエルフ女奴隷ハーレムのお披露目 2

「子供まで相手にするほど、私は心が広くないよ。それから、心が壊れた人形を相手にするには、わがまま過ぎるのだよ。」

 彼は穏やかな調子で、ハニーワインを、二つ手にしながら答えた。

「それでも、12人ですよね。大したものですよ、みんな愛してくれて、主様は。」

「まあ、主様は私達に奇跡を起こしましたからね。主様には、エルフの血が?」

 ディオゲネスとパイステアの間に、年増ハイエルフ奴隷女二人が入り、妖艶な笑みを浮かべて覗きこんだ。続けるように、

「それでも、パイステアとばかりいつも一緒。」

「私達なぞ、たまに…なだけ。」

 向かい側に座る失明ハイエルフ奴隷二人が、ぼそっと本音が出たというように呟いた、周囲に聞こえるように。“よい仕事をしてくれた。”彼は、パイステアにグラスを一つ渡しながら、

「さあ…。ハイエルフどころか、エルフが、母の家系にいたという話は聞かないが、まあ、本当のところはわからないな。それに、エルフとのハーフやハーフエルフが、あのようなことができるとは、聞いていないので、なんとも…。パイステアは、常に私のそばにいる、確かに。皆、私のために生きる奴隷達だ。それぞれの適性に合わせたて、誇りが持てるように仕事を命じている。私のために、命を捨ててでも働くいてもらうが、生き残れる可能性はある。しかし、パイステアは違う。彼女は、最後は私の盾になっても、私を守ることになっている。彼女が死んで私が生き延びることはあっても、私が死んで彼女が生き延びることはない。そのために、彼女は剣を持って、私に添い寝している。」

 パイステアは、大きく頷いた。さすがに、彼女らの奴隷としての、戦士としての立場に、少し引いた客達に、年増ハイエルフ奴隷女二人が気の利いた言葉を口にして、周囲の雰囲気を和ませ、これを利用して、サロンの主が新しいイベントに皆を導いた。このよう後は、ディオゲネスが芸術家や哲学者などとの会話に追われることになった。

 その夜は、泊まることになった。しばらく、この地を巡回することになっている。1日、宿泊の名誉を与えなければならない。二部屋での宿泊となった。小さい部屋には6人が、大きな部屋に彼と残りの奴隷達が泊まることになった。もちろん、彼とともに従った他の面々、御者、正騎士達の部屋は別途用意されていた。この二部屋は、彼と彼のハーレムのための部屋だった。このことは、館の主人と事前に話し合いがついていたことだった。ハーレムを知らしめることのためだった。

「やはり、や、やるのですか?」

 そう言いながら、手を取り導かれるといそいそという感じで、その小柄な体で抱きついてきた。

「自分が一番早く、裸になって、どこの口が言っている?」

 抱きしめられるだけで、アスコナは喘ぎ声を出した。視力を失っているが、それがかえって感覚を鋭くしているようだった。

「きゃ!」

 アスコナが、叫び声を上げた。

「全員だと、さすがにハイエルフに相性のいい、ご主人様でも大変だろうだから、私も加勢してあげようと思ってさ。」

 年増ハイエルフのパノストラが、アスコナの体を巧みにまさぐり始めたのだ。

「止めて下さい!」

と言ったものの、直ぐに喘ぎ始めた。

「あ!」

とディオゲネスに立ったまま抱きかかえられ、一体となっていたアスコナが動かなくなった。

「あらら、もう終わったのかい?」

と笑ったパノストラだったが、その後、寄ってたかって愛撫されながら、ディオゲネスの下で完全にぐったりとなってしまった。

「こんな格好で…やっぱり私の傷跡が醜い顔を見たくないから…。」

完全にベッドの上にうつ伏せになって、彼に後ろから尻を抱きかかえられて一体となり、それでも腰を動かして反応しているメランタが、泣くように喘ぐ横から、

「あら、あなたがこの体位でせがんだんでしょう?わがままね。さあ、首をこちらに向けて、主様に顔を見せて、口づけをおねだりなさい。」

 パイステアが手で彼女の顔を後ろに向けさせた。唇を少し開け、舌をわずかながら突き出した。その彼女に、ディオゲネスは唇を重ねて、舌を絡まらせた。その口づけが終わると、二人は激しく動き始めた。直ぐに、メランタは背を海老ぞりにして、両手でシーツを掴んで動かなくなった。

「お疲れ様です。」

 パイステアは、メランタから離れたディオゲネスに、飲み物を渡した。二人は、まだ空いているベッドの上に並んで座った。

「でも、本当によかったのですか?」

「本当は、少し後悔している。」

“あら?”彼女も、昂奮に乗せられてしまっていたが、今頃になってから心配になってきた。

「罪のない馬鹿皇子だと思ってくれるかな?と…。」

「不道徳とお怒りになられるかも…。」

 心配そうな顔をしながら、彼女はしかし、もじもじと体をしきりにすり寄せ始めた。彼に加勢して、仲間たちに愛撫を加えたが、愛撫は自分も受けて、刺激され、もう我慢も限界にきていたのだ。

「わ、私はい、いいのですよ。も、も、もう目的をたっしましたから…。」

「全員終わらなければ、お披露目は終わらない。」

 ディオゲネスは、正常位で一体となった。もう準備は180%できていたからだ。体の奥でつながっているような感覚となり、何度も何度ものけぞった。パイステアは、頭の隅で、奴隷商人と二人のダークエルフの姿を思い浮かべていた。“羨ましい?あの卑しいダークエルフが?”

 その翌日からは、訴えや請願、提案を聞き、視察、施策の調査などをディオゲネスは精力的にこなした。

 ちなみに、館の主人夫妻が朝訪れた時には、ディオゲネス以下正装で、かつ部屋は髪の毛1本も落ちていないほど掃除され、整えられていた。彼らの体からは、行為の臭いがプンプンしていたが…という話が伝えられている。

「あの皇子は、相変わらずですね。」

「本当に呆れますね。」

「あの方は、半分わざとやっているんだよ。だから、あの方のために、しっかり笑いものにしてあげようじゃないか、帝都の皆様に?兎に角、あの方のおかげで、私はお前達とともにやっていけているんだから。」

 彼は、ディオゲネスが地元の奴隷商人だけでなく。領民全体に、不公平、特別待遇していないと示せるぎりぎりのところで、金を払ってくれてくれたことを感じることができた。

“子供の時、父に、二人と離さないで!と言ったあの気持に変わりはない。あらためて分かった。あの方は、わかったのかな?”

「3人で幸せにな。」

との別れの時の彼の言葉を思い出した。



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