第12話 魔法を使ってみる①

 翌朝、朝食を食べた後で地下に降りた先の広い部屋の一つで、僕はルカから魔力についての説明を受けていた。


「魔力はね、この世界の住民なら大なり小なり備わってるんだよ。 君の場合は、召喚された中では低いかも知れないけど、この国の王宮魔術師よりは高いんだよ」


 魔力はこの世界では、大なり小なりはあるものの、誰もが所持している物のようだ。

 さらに、僕の魔力はグズーラ王国基準では魔力は低いとされたが、ルカが言うにはショコラ王国の王宮魔術師達よりは高いらしい。

 それについては多少は安心したかも。

 まぁ、ルカよりは低いだろうけど。

 彼女は、グズーラ王国から『魔女』と呼ばれるくらいだから。


「魔法を使うには、まずその人の中にある魔力を使い、媒体等に集める必要があるの。 それから、使う魔法の言霊ことだまを媒体等に集めた魔力に吹き込むの。 それらを行うには精神を鍛えて集中力を高める必要があるんだよ。 少しでもブレたら魔力が暴発するか、魔法の制御に失敗するからね」


 ルカはさらに魔法を使う為に必要なプロセスも教えてくれた。

 魔力を媒体等に集めてから、使う魔法の言霊ことだまを媒体に集めた魔力にインプットする形のようだ。

 それらを行うには精神を鍛えて、集中力を高める必要があるらしく、少しでも精神が乱れたら最悪暴発する。


「逆に言えば、魔法の行使を阻止するには、集中力を切らす為の仕込みをすればいいんだけどね。 暴発に巻き込まれる危険性があるからおすすめはしないけど」


 逆に言えば集中力を切らせば、魔法の行使を阻止出来るらしい。

 暴発というリスクを度外視すれば……になるけど。


「んじゃ、実際にやる為に風の魔法【ウィンド】を使えるようにしてみよっか」


「風の魔法【ウィンド】?」


「風の初級魔法だよ。 昨日も言ったように初めて魔法を使うならこれがオススメだよ。 ちなみに言霊は『風よ巻き起これ』だよ。 ボクもフォローするからやってみて」


「うん、分かったよ」


 魔力や魔法について粗方説明を聞いたので、ルカが実際に風の魔法でやってみようと提案する。

 【ウィンド】という風の初級魔法で、ルカのフォローの下で魔力を媒体に集め、言霊をインプットして行使する手順をやろうというのだ。

 初級魔法だからか、言霊は短めなので確かにやりやすいだろう。

 上手くいくかは別にして。


「まずは、媒体に魔力を集めるんだけど、今回はこの杖を媒体にしようか」


「この杖で……」


「樫の木で作られた杖だから、やや重いけど媒体にはうってつけだからね。 さ、カズくんの魔力をこの杖に集めようか。 杖を景色だと思ってじっくり杖を見よう」


(こう……かな?)


 ルカの言うように、杖を景色だと思って杖を集中して見つめる。

 すると、身体に何かが駆け巡る感覚がしだした。


「いい感じ! それが魔力を媒体に集めるという事なんだよ」


 どうやらこの感覚こそが魔力を媒体に集めるという事らしい。

 確かに杖が少しずつだが、光を帯びてきている。


「よし、そこから媒体に向けて言霊を口に出して、その後ですぐに魔法の名前を!」


 媒体に集まった魔力がいい具合なので、ルカは次の手順を言った。

 媒体に向けて言霊を言ってから、魔法の名前を言う形だ。


「風よ巻き起これ、【ウィンド】!」


 その瞬間、媒体として使っている杖から、風が巻き起こった。


「わぉ、すっごい風だね」


(あ……)


 不意にルカに視線を向けた瞬間、彼女のスカートが今の風で捲れ上がっていた。

 同時に彼女の下着を見てしまった。


 白だった。


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