第7話 ショコラ国王との面会

「ここだよ。 この先が王の間だよ」


「うわぁ。緊張する……」


 ルカに手を繋がれて、引っ張られる形で案内された先に王の間がある。

 今の時間帯はここに国王様がいるようだ。


「ボクが先にノックをするから、ボクが入った後にすぐについてくるようにね」


「うん」


 そう言いながら、ルカは王の間の扉をノックする。


「入ってくれ」


 扉越しにおじさんのようなボイスが聞こえて来た。

 それを確認したルカが扉を開けて王の間に入るので、僕もそれに続く。

 そこには見た目がダンディなおじさんのような男性が玉座に座っていた。

 この人が国王様なのだろう。

 かなり高級そうな服装を着ているが、グズーラ王国の国王のような威圧感は感じない。


「お父さん、例の彼を連れて来たよ」


「おお、その少年が」


「って、お父さん?」


「おや、娘のルカーディアから聞いてなかったかな?」


「いえ、初耳ですよ」


 国王様に向けてルカが『お父さん』と呼んだ事に驚きを隠せない。

 そんな僕の様子をみた国王様が、ルカから聞いてないのかと聞かれたが、素直に初耳ですと答えた。


「ルカーディアは私の娘の一人でね、第二王女なのだよ。 私はショコラ国王のジェラール・ルフ・ショコラという」


「僕は……、木崎きさき 和正かずまさです」


「カズマサ君だね。 娘共々よろしく頼むよ。 早速だが、娘からも話は聞いているが、改めて君の方からも話を聞きたい。 だが、娘曰くトラウマがあるようだから、話せる範囲でいい」


 僕はルカの支えを受けながら、国王様にグズーラ王国で受けた仕打ちを話した。

 ルカから聞いていた以上の内容に、国王様も表情を歪ませる。


「低能力でスキル無しという事で『ハズレ』扱いにされた挙句、兵士による暴行か。 それはトラウマになるな」


「向こうの世界でも母親にぞんざいな扱いをされていた事も拍車に掛けてるしね」


「うむ。 勇者召喚術を強行したグズーラ王国に対する制裁を考えないといかんな」


「各国の動きは?」


「グズーラ王国の動向は掴んでいるから、我が国と同じように制裁の動きが出ているよ」


 僕の受けた仕打ちに表情を歪ませながらも、グズーラ王国に対する制裁などを考えていくらしい。

 他国も同じような動きを見せており、多分グズーラ王国は孤立するんだろうな。


「それで、カズマサ君はルカーディアと一緒にこの国に住むという事でいいのかな?」


「はい。 この世界じゃ右も左も分からないので……」


「元々ボクは継承権がないから、彼の支えを全力でやっていくよ」


「うむ。 なら、カズマサ君の国民登録を済ませておこう。 その間、王城内のルカーディアの部屋で待っているといい。 終わったら兵士から通達を送る」


「分かりました」


「じゃあ、ここのボクの部屋に行こうか。 あんまり使ってないけど、一休みするには十分だと思うし」


 国王様に深々とお辞儀をしてから、王城内のルカの部屋に向かう。

 僕の国民登録が終わるまでそこで一休みしておくとしようかな。


 かなり緊張で疲れたし……。


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