第2話 目覚めた先は魔女の小屋?
「全く……、こんなものが出来ないなんてね。 あんたなんか産むんじゃなかったわよ」
僕の世界は、かつての母親から言われたその言葉で崩壊した。
母親は、平凡な僕ではなく天才の弟を溺愛していた。
父親は海外に出張しているので、ほぼ母親が家を仕切っているようなものだった。
食事も弟と僕とで質も量も差別された。
高校受験も弟は有名私立校なのだが、僕は平凡な公立校。
そこで、母親からそう言われたのだ。
「あんたは邪魔よ。 視界に入らないで!」
その後に海外から戻って来た父親が離婚するきっかけとなったこの発言を聞いた瞬間、僕の視界は白く染まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ん……」
視界が白く染まった直後、不意に瞼を開いた。
「あれ、ここ……は……?」
僕が目を覚ました場所は、あの王城ではなく木製の小屋のようだ。
「あれ、包帯……? いたた……!」
身体には包帯が巻かれていた。
少しでも身体を起こそうとしたら身体に痛みが走った。
あの時、意識を刈り取られた後で、暴行を受けたのだろうか?
両腕は無事……ではなく、痣が少し残っていたのだけど。
「あ、気付いたのかな?」
「え……?」
女の子の声が聞こえたので、視線をそちらに向けると、黒のゴスロリ衣装を身にまとった白色のボブカットの女の子がいた。
彼女の手には薬らしきものとタオルみたいな布を用意していた。
「あの……、ここは?」
僕はこの場所がどこなのかと女の子に尋ねた。
「ここはね、『グズーラ王国』側からしたら『魔女の森』と言われる森の中の小屋だよ。 嫌な予感がして小屋から出てみたら森の入り口付近で君が倒れていたんだよ。 発見が遅れてたら助からないレベルでボロボロにされてね」
どうもこの小屋は、『魔女の森』の中にある小屋のようだった。
なら、この女の子は魔女という事になるのかな、あの国からしたら。
「えと……、あなたは……、向こうの国からしたら『魔女』という者ですか?」
「そうなるね。 向こうが……『グズーラ王国』が勝手にボクをそう呼んでるだけなんだけどね! まったくもって不快だよ」
僕が召喚された地、グズーラ王国からしたらやはり彼女は『魔女』みたいだが、どうも向こう側が勝手にそう呼んでいるだけのようだ。
そう呼ばれるのが不快なのか、かなり怒っていたようだが、すぐに優しい表情に戻り、僕に聞いて来た。
「君はなんであそこで倒れてたのかな? しかもあんなボロボロで……。 さらに身一つで」
「それは……」
僕はトラウマとしてフラッシュバックしながらも、何とか魔女の女の子に僕の事情を打ち明けた。
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