俺たちのイバラの道

@Yamisaki-mai

プロローグ

二十代の中盤から後半に差し掛かる頃になると周りに結婚した者や、子どもが生まれたという者。

非モテボッチの俺、持内丈にはクソどーでもいい噂を耳にする。

先日久しぶりに実家に帰った時も母が

『幼馴染みのあの子結婚して子どももいるんだって、あんたもそういう子いないの?一度家に連れてきなさい早く孫の顔がみたいわ』と無茶なお願いにイラっとする。

ボッチ歴は長いが独りに慣れることはなく夜は特に寂しさを感じる俺だって勿論恋人は欲しい。だが、この27年間彼女なんていたこともない。

そして異性にどう接していいか判らずまともに会話すらできないそんなヤツが家に彼女連れてくるなんて無理ゲーに決まっている。

『まあ、そのうちにね』と適当な返事でごまかしこの話題は終わった。


それから数週間が過ぎたある日、町を歩いていると1人の人物から声をかけられる

「ねぇねぇお兄さん、お兄さんって恋人いる?もしいないのならボクと付き合ってください」

中性的な顔立ちにボーイッシュな服に髪型、そして一人称が『ボク』の俗にいうボクっ娘は榊原碧と名乗った彼女からの人生で初告白に戸惑っていると

「ボクねお兄さん見かけるの二回目でさ、一回目見た時カッコイイなと思ってそれが忘れられなくなったの。そして今日またお兄さん見かけてこれ運命だと思ってつい告白しちゃった」

「ダメ…ですか?」

上目遣いでそんなこと言われたら…ダメだこの子めっちゃかわいい。

それにこんなチャンス二度とない人生初告白され舞い上がった俺は即オーケーしてしまった。

「あの、よろしくお願いします」

すると彼女は、ぱぁーと笑顔になり俺に抱きついてきた。

「こちらこそよろしくね丈君」

女の子特有の甘い香りこれが女の子なんだ…だがしかし何か違和感も覚えたその違和感がなんなのか気づくのはまだ先の話である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺たちのイバラの道 @Yamisaki-mai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ