（仮題）1998年夏

最終話 さよなら（7／15）

■シーン９■　お台場

＊シーン９－１＊　お台場

　　　　　　　巨大火竜、橋の際に立って前を見る。

　　　　　　　手前にお台場の岸壁、自衛隊の攻撃車両群。砲門、ミサイルが目標を定める。

＊シーン９－２＊　有明総合病院、駐車場

　　　　　　　自衛隊司令部。自衛隊員が走って来る。

自衛隊員　：「司令ー！」

　　　　　　　自衛隊員、司令官の前に駆け込むと、

自衛隊員　：「報告します！　巨大火竜の体に人間が取り付いております！」

司令官　　：「なに!?」

　　　　　　　再び走って出る。

　　　　　　　獅子王の脇まで来て双眼鏡を覗く。

　　　　　　　巨大火竜の右胸部分。アップ。

　　　　　　　火竜の体からワイヤーが垂れ、橋の構造体と啓吾がぶら下がっている。

司令官　　：「土門啓吾か‥‥」

　　　　　　　獅子王、驚いて司令官を見る。

司令官　　：　後ろを振り返り、

　　　　　　「攻撃は中止！　部隊は待機！」

獅子王　　：　お台場方面を見て、

　　　　　　「あの男めの仕業かーっ!?」

＊シーン９－３＊　お台場

　　　　　　　巨大火竜。手前にお台場。自衛隊の車両。背後にレインボーブリッジ。

　　　　　　　火竜、歩き出す。背後でレインボーブリッジが斜めに傾いで倒壊する。

　　　　　　　海面に向かって倒れるレインボーブリッジ。

　　　　　　　お台場に上陸する巨大火竜。背後でレインボーブリッジが海面に倒れる。巨大な水柱。大音響。

　　　　　　　手前の自衛隊車両がじりじりと後退する。

　　　　　　　啓吾、上からの俯瞰。ワイヤーに必死で掴まる。下で地面が左右に揺れる。

＊シーン９－４＊　有明総合病院、駐車場

　　　　　　　病院から駆け出す風花。

＊シーン９－５＊　お台場

　　　　　　　巨大火竜、自衛隊を圧しながらお台場に上陸する。咆哮する。

火竜　　　：「ギャアアアアア！」

＊シーン９－６＊　有明総合病院、駐車場

　　　　　　　司令部前、駆けつける風花とそれを認める獅子王。二人ともすぐに相手から目を逸らして夜空を見上げる。

　　　　　　　背後で、司令部テントの帆布がバタバタと音を立てる。

　　　　　　　病院から、優香と翔、それに数人の天女たちが駆け出して風花のもとに駆けつける。

　　　　　　　場面俯瞰。一帯に強い風が起こる。

　　　　　　　風花、恐怖に顔を歪めて、

風花　　　：「熱擾乱が‥‥、起こる!!」

＊シーン９－７＊　お台場

　　　　　　　巨大火竜と足元の自衛隊車両。周囲に埃が舞い上がる。

　　　　　　　武装天人弓隊、矢を放つ。

　　　　　　　巨大火竜を無数の稲妻が襲う。

　　　　　　　巨大火竜の周囲に風が巻き、稲妻が退けられる。

　　　　　　　上空の黒雲が渦を巻き始める。

　　　　　　　巨大火竜、火炎球を吐き出す。

　　　　　　　巨大火竜と足元の自衛隊車両。路面に火炎球が炸裂する。炎が風に巻かれて渦をなす。

　　　　　　　自衛隊の車両が炎の渦に巻き込まれて次々に爆発する。炎の塊となって宙に舞う。

　　　　　　　巨大火竜、辺りを見回す。

火竜　　　：「（叫び）どこに隠れた、ドモンケーゴ!?」

　　　　　　　海面がしぶきを上げて波立つ。

　　　　　　　烈風が『ゆりかめも』の鉄路を宙へ舞い上げる。