最終話 さよなら(6/15)

■シーン8■ 有明総合病院前

*シーン8-1* 病院前駐車場


       夜の有明の空にサイレンが鳴り渡り、サーチライトが夜空を照らす。


       病院前駐車場。あちこちから自衛隊員らが走り出て来る。

       自衛隊員、口々に騒ぎながら、お台場方面を指差す。


       竹芝の海に巨大な火竜の影が浮かび上がる。首を左右に振る様子。


       自衛隊司令部テントから司令官と獅子王が駆け出して来る。


獅子王  :「(驚愕した表情)なんだ、あれは!?」

司令官  :「(意外と冷静に)ほう! お台場ですな? 有明でなく」

       振り返って、

      「作戦変更。部隊はお台場へ前進。報道管制は解除だ!」



*シーン8-2* お台場、遠景


       お台場のテレビ局、強いサーチライト群が燈る。


       レインボーブリッジと巨大火竜を、サーチライトが照らし出す。火竜が光の方向に顔を向ける。眩しげに隻眼の右目を細める。



*シーン8-3* 病院前駐車場


       獅子王、ぎょっとした表情で司令官を見る。


       司令官、獅子王に向けて、おどけた様に眉を動かして見せる。

       背を向けて司令部テントに戻りつつ、


司令官  :「正確な情報を、速やかにマスコミに流せ。あとで叩かれるぞ!」


       司令官、テントに戻って行く。


       獅子王、手にした指揮棒を折り地面に叩きつける。吠える。


獅子王  :「撃ち取れーっ! でかいだけだ! 手間を掛けるなー!」



*シーン8-4* 病院建物内


       病院の廊下を走る武装天人ら。廊下に面して開いたドアが一つ。


武装天人 :「(喚く)お台場へ前進ー! お台場へ前進ー!」


       病院の一室に一人残った武装天人。その背後に、風花。椅子に縛られて猿轡をされている。

       風花、左右に目を走らせる。

       立ち上がると、手を縛り付けられた椅子で監視の武装天人の後ろ腰を殴りつける。

       武装天人、壁に倒れる。その脇腹に、更に風花が椅子を叩きつける。よろめいた所で後頭部へ椅子を叩きつけると、武装天人は倒れて、椅子が砕け散る。

       風花、手の戒めを解き猿轡をはずす。武装天人に駆け寄り体をまさぐる。無線機を取り出す。


風花   :「風花よ! 天女はすぐに行動開始! ‥‥え?」

       無線機に咬みつくように、

      「武装天人なんか、ブン殴りなさい!! 違う!? なあに? 窓の外!?」


       窓から外を見る風花、愕然とする。



*シーン8-5* お台場、遠景


       レインボーブリッジを背景に立つ巨大火竜。テレビ局のサーチライトに向かって咆哮する。


火竜   :「ギャアアアアア!」



*シーン8-6* 病院建物内


       風花、のけぞって床に倒れる。


風花   :「あれが火竜!? ‥‥うそ!!」

       無線機が、手から滑り落ちる。

      「あ、あれが‥‥、彩香の羽衣の力なの?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る