最終話 さよなら(8/15)

*シーン9-8* 有明総合病院、駐車場


       暴風の中。

       風花、翔、優香ら、それぞれに、柵などに掴まる。



*シーン9-9* お台場


       巨大火竜、テレビ局のビルのガラス窓に映る自分の姿を見る。

       次の瞬間、全ての窓ガラスが砕け飛ぶ。

       テレビ局の球形展望台が地面に落下して砕け散る。


       巨大火竜、首を回して自分の胸元を見る。

       背後のビルが烈風に吹き飛ぶ。


       ワイヤーにぶら下がり風に煽られる啓吾と、それを見る巨大火竜の顔。


       啓吾、火竜を見返す。巨大火竜の左手の爪が啓吾を挟み込み、無理矢理にワイヤーから引き離す。


啓吾   :「くぅっ!」


       巨大火竜、大口を開ける。左爪でつまんだ啓吾を頭上高く持ち上げる。



*シーン9-10* 有明総合病院、屋上


       暴風。

       病院屋上角に、彩香が立つ。


彩香   :「(叫ぶ)火竜!」



*シーン9-11* お台場


       彩香に目を向ける巨大火竜と、火竜の爪に挟まれた啓吾。


啓吾   :「彩香!」

火竜   :「ヒヨコ天女か? 『九耀』の力を失くした天女になど用はないわ!」

       旋風が起こる。



*シーン9-12* 有明総合病院、屋上


       彩香に、旋風が襲い掛かる。


彩香   :「啓吾さんを傷つけさせない!」

       肩を包んでいたショールが風に吹き飛び、彩香の体が宙に放り出される。


       『九耀の腕輪』アップ。石は残り2つ(中央の大きな石と周辺の小さな石)。腕輪が、常とは異なる赤い光を放ち「帝釈」の文字が浮かぶ。

       ズームアウト。

       彩香、全身が赤い光に包まれる。両肩から赤い光を帯びた翼が広がる(右翼は途中から千切れている)。風に逆らって飛び始める。


       彩香、正面から。赤い光に包まれたまま空を飛ぶ。



*シーン9-13* お台場


       暴風の中心に立つ巨大火竜。

       隻眼の右目で彩香を見る。

       口を大きく開く。

       衝撃音と共に火炎球を放つ。


       彩香、後方から。

       真正面から火炎球が飛んで来る。

       衝突する。火炎球が砕けて四方に飛び散る。

       巨大火竜の大口が迫る。



*シーン9-14* 有明総合病院、駐車場


       獅子王、暴風の中。


獅子王  :「彩香!」



*シーン9-15* お台場


       啓吾、火竜の爪に挟まれて、


啓吾   :「彩香ーっ!」


       お台場に立つ巨大火竜の全身。赤い光球が口内に消える。続いて頭部から爆発を起こす。全身が木っ端微塵に飛び散る。



*シーン9-16* 有明総合病院、駐車場


       獅子王、叫ぶ。


獅子王  :「処理隊、かかれーっ!」



*シーン9-17* お台場


       お台場市街。火竜の破片が、雨の様に落下する。

       その中を武装天人が走る。


       路上に落ちた破片が変形して火竜の形を取ろうとする。

       そこに雷光が差して燃え上がる。


       武装天人が地に剣をかざす。小さな雷光が走って辺りの破片を焼き尽くす。

       剣を引くと、仲間に振り返って、


武装天人 :「一片たりとも残すなー!」


       火竜の形に変形しかけた破片を火炎放射が焼き尽くす。


       火炎放射器をかざす自衛隊員ら。


       破片と一緒に地面に落下する啓吾。その手前に彩香の体が落下して来る。

       啓吾、身を起こす。


啓吾   :「彩香!」

       走り出す。ふいに襟首を掴まれ振り向かされる。


       目の前に獅子王、右手の拳を打ち出す。

       啓吾、あごを殴られて吹き飛ぶ。仰向けに倒れる。

       焦点移動、手前に獅子王。啓吾には目を向けずに、


獅子王  :「収容急げ! 早くだ!」


       彩香を取り囲む武装天人達。風花が駆けつける。

       風花、彩香の脇に膝をつくや、彩香の左手を取る。


       彩香の『九耀の腕輪』、アップ。全ての石が失われている。


風花   :「(愕然と)彩香!」

       彩香の体にすがりついて、

      「あなた、『九耀』の石の力を解放させたの! 何て事をっ!!」


       武装天人らが、彩香を乗せた担架を小走りに運ぶ。風花が付き従う。


       路上に仰向けに倒れた啓吾。

       焦点移動、その手前に獅子王、彩香を見送る。

       獅子王、ちらっと啓吾に顔を向け、すぐに目を背ける。


獅子王  :「本体がいるはずだ! 本体を処理するまで気を抜くな!」

       周囲を武装天人と自衛隊員らが走る。



最終話(後編)に続く(12月25日掲載予定)

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