最終話 さよなら(4/15)
■シーン4■ 有明総合病院、病室
ベッドの彩香を見下ろす獅子王。
ベッドに身を伏せたまま獅子王を見返す彩香。
獅子王 :「(病室内を歩きつつ、始め静かに徐々に激しく)酔った弾みのお遊びを大袈裟に騒ぎ立て、吉祥天女の元へ走り、揚げ句に、父上の決めた名門学問所を断り、当てつけがましく吉祥宮になど入りおって、お前は、全く可愛げのない娘だ。下手な芝居で、俺の目がごまかせるとでも思うておるのか! 我がままもいい加減にせい!!」
彩香 :「(徐々に激しく)覚えていません。覚えていません! あたしは、本当に覚えておりません!!」
顔を上げて、獅子王を見て、
「お願いです! あたしを啓吾さんの元に帰して下さい! あたしは、本当に天上界の事は何も覚えてはいないのです!」
獅子王、ベッド脇に戻って来ると、再び彩香の髪を掴み上げる。
獅子王 :「お前は、俺の妻となるのだ! 帝釈天家の跡取りである、この俺のな!」
彩香をベッドに突き倒す。
彩香、ベッドに倒れ伏す。
獅子王 : 彩香を見下ろし、
:「選択の余地などないのだ! お前も、それに俺にもな!」
身を翻す。画面いっぱいに獅子王の白いマントが広がる。
■シーン5■ 優香のマンション
画面いっぱいに、純白の羽衣。
トラックアウト。風花、両腕を武装天人に押さえられている。
風花 :「何をするの!? 無礼は許しません! 離しなさい!」
優香と翔。薬を嗅がされ、次々に床に倒れる。
風花、抗う。武装天人が縄を掛ける。
風花 :「『不正接触』ですって!? 気でも違ったの!? わたし達は、!」
猿轡が口を塞ぐ。必死でもがく。
風花、後ろ手に縛られ、優香らの脇に転がされる。風花、顔を上げて武装天人らを見上げる。
■シーン6■ 病院通路
獅子王、歩く。1名の武装天人が駆け寄る。
武装天人 :「天女達の拘禁を、完了しました!」
獅子王 :「風花は?」
武装天人 :「捕縛し病室に監禁しました!」
獅子王 :「よし! あとは、火竜を片付けるだけだ。準備はいいな!」
武装天人 :「はっ!」
獅子王 :「相手はたかが一体、それも手負いの火竜だ。この病院の敷地内で確実に射止めろ」
武装天人 :「はっ!」
獅子王 :「風花を逃がすな! こちらの大事な生き証人だ」
武装天人 :「はっ!」
駆け去る。
獅子王 : 歩きつつひとりごちる。
「父上、お見事です。今度こそは、吉祥天女も翼をもがれたも同然でしょう」
薄く笑う。哄笑する。
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