第8話 天上への光(5/13)

■シーン5■ 神宮外苑

*シーン5-1* 神宮外苑


       炎上するトッポ。空から火竜大が舞い降りて来る。

       続いて、2体の火竜小も舞い降りて来る。

       火竜大、トッポの中を覗き込む。すぐに顔を上げる。

       3体の火竜、左右に首を回す。


       炎上するトッポと3体の火竜、やや遠景。

       火竜、首を上に上げて咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」

火竜小1 :「ギャー! ギャー!」

火竜小2 :「ギャアー!」


       絵画館、正面。

       画面、右から左にパンして全景を映す。


火竜大  :「(声のみ、遠くから)ギャアアアアア!」


       絵画館前庭園。

       画面、右から左へパン。次いで、左から右へパン。


火竜小  :「(声のみ、遠くから)ギャー! ギャー!」


       植え込みの前に数個のベンチ。その一つの陰に伏せる人影。


啓吾   :「(小声)動くなよぉ。今は動くなよ」


       ベンチの陰に伏せる啓吾。胸の下に彩香。


啓吾   :「(小声)お前、震えてないな。恐くない?」

彩香   :「(小声)だって、啓吾さんがいるもん」

啓吾   :「(小声)バーカ」


       炎上したトッポの回りに火竜大、火竜小1。1体の姿がない。

       火竜大、空に首を向けると、火炎球を吐き出す。

       続けて吐き出す。衝撃音が響き渡る。

       火竜小1もそれに倣う。


       絵画館と前庭園。火炎球が次々に落下し炸裂する。

       発射の衝撃音と爆発音とが響き渡る。


       庭園。火炎球が次々に落下し炸裂する。

       発射の衝撃音と爆発音。


       庭園の植木。火がついて燃え始める。

       パチパチと燃える音。

       再び大きな爆発音。画面左が明るくなる。


       啓吾と彩香、ベンチ陰から駆け出す。


啓吾   :「よし! 走れ!」


       啓吾と彩香、手を取って走る正面から。背景に巨大な火柱。


       樹林の間を駆け抜ける啓吾と彩香。


       啓吾と彩香、庭園を抜けていちょう並木通りに出る。

       その先に、火竜小2が空から舞い降り着地する。


       火竜小2、首を空に向けて鳴く。


火竜小2 :「ギャギャギャ! ギャギャギャ! ギャギャギャ!」


       啓吾、背中のキスリングから木刀を引き抜き右手に構えて突き出すと、左手で彩香の手を取り、真っすぐに突っ込む。


       火竜小2、空に向いていたのが、啓吾を見て、目をむいて固まる。


火竜小2 :「キッ!?」


       木刀に胸を突き飛ばされる。


火竜小2 :「ギャッ!」


       啓吾と彩香、そのまま駆け抜ける。


       啓吾と彩香、いちょう並木通りを駆け出す。


       いちょう並木通りを駆ける啓吾と彩香。


       その前面に火竜小1が着地する。


火竜小1 :「ギャアオ!」

       腰を低くして構える。


       啓吾と彩香、立ち止まる。


火竜小2 :「ギャアア!」

       飛来し、二人の背後に着地する。


       啓吾と彩香、背後を見る。

       啓吾、横を見る。


       火竜大、アスファルトの上に舞い降りる。アスファルトがギッと軋んでひびが走る。

       火竜大、首を上げる。咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」


       啓吾、彩香を体で庇いながら街路樹に寄せる。

       木刀を青眼に構える。


啓吾   :「(背後の彩香に小声で)いいな? 『行け』って言ったら行くんだぞ。それまでは離れるなよ」


       ズームアウト。啓吾の正面に火竜大。


       火竜大、一歩踏み出す。


       啓吾、正面から。咆哮する。


啓吾   :「うおおおおおおお!」

       木刀を八双に上げて一歩踏み出す。


       火竜大、アップ。一歩退く。


       啓吾、身を右へ翻す。


啓吾   :「走れ!」

       彩香の手を取って右へ走る。


       火竜小1、啓吾の木刀に横面を殴られて吹き飛ぶ。


火竜小1 :「ギャン!」


       啓吾と彩香が正面に走る。背後で火竜小2が飛翔する。


       走る啓吾と彩香、正面から。

       啓吾の両肩を火竜小2の足爪が捉える。啓吾、彩香を前に突き出す。


啓吾   :「行けーっ!」


       彩香、啓吾から離れて走る。

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