第8話 天上への光(4/13)

*シーン4-3* 外苑東通り、北へ


       トッポ車内。


彩香   :「(絶叫、啓吾の腕にすがりついて)啓吾さん! 右です、右!!」

啓吾   :「(叫ぶ)奴に言ってくれ!」


       外苑東通り、北に走るトッポ。

       上空に火竜大。火炎球を吐き出す。

       トッポ、後ろ姿俯瞰、画面右に流れる。画面左に火柱が上がる。

       トッポ、画面左に流れる。画面右に火柱が上がる。


       トッポ、正面から。画面左に流れる。画面中央に火柱が上がる。


彩香   :「(手すりに必死で掴まり)きゃーっ!」


       トッポ車内。窓の外で火柱が起こる。


       啓吾、センタートレイに置いた携帯電話を取って広げて一瞥する。

       すぐに諦めて、


啓吾   :「彩香! お前のPHS(ピッチ)で110番しろ!」

彩香   :「えっ!」

啓吾   :「自衛隊を外苑に移すんだよ! 俺の携帯じゃダメだから!」


       彩香、トートバックからPHSを取り出し、掛ける。


PHS  :「もしもし」

彩香   :「(叫び)もしもし! 警察ですか! 火竜に追われています! 助けてッ!」

PHS  :「もしもし?」

彩香   :「火竜です! 火竜!! 新宿の怪物!! 神宮外苑におびき出すから助けて!!」


       PHS、アップ。


PHS  :「もしもし。落ち着いて。あなたの苗字と名前をはっきりと」


       PHSをかける彩香。


彩香   :「えっ? 苗字と名前ですか? えーと、えーと、(叫び)土門彩香です!!」


       啓吾、ぎょっとした顔で助手席を見て、


啓吾   :「お前! 天女だろう! 苗字なんかどうだっていいだろう!」


       彩香、啓吾を見て、


彩香   :「だってぇ‥‥」


       トッポ、正面から。

       画面左に流れる。画面右に火柱が上がる。運転席の啓吾、ハンドルを(画面から見て)右に切る。

       早稲田通り。トッポ、強引に左折(火柱側へ)する。


       上空の火竜大、咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」

       勢い余って通り過ぎて遠ざかる。ズームアウト。

       空中で旋回する。

       戻ってくる。ズームアップ。咆哮する。

      「ギャアアアアア!」



*シーン4-4* 外苑東通り、南へ


       トッポ、外苑東通りを南へ向けて走る。

       行く手に火竜小が舞い降りる。


       道路中央、火竜小が両翼を広げて立ち塞さがる。


火竜小  :「(威嚇する)ギャー!」

       トッポが真正面から突っ込む。

火竜小  :「(跳ね飛ばされて、)ギャッ!」


       トッポ、走り去る。

       道路に火竜小が落ちて来る。


火竜小  :「(路面に落下し、首を起こして不満げに)ギャー! ギャー!」


       火竜大、正面から。ビル上空を画面奥から飛来する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」


       カーラジオ


ラジオ  :「‥‥自衛隊では110番通報された情報を信憑性のあるものと判断し、部隊を神宮外苑へ移動させる決定を下しました。なお‥‥」

啓吾   :「遅い! 遅いよォ!」

       助手席を向いて、

      「あのさー、ガス欠とか言ったら、お前、俺を恨む?」

彩香   :「(絶叫)恨みます!!」


       火竜大、飛来する正面から。咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」

       画面、下にチルト。

       トッポ、走る正面から。


       トッポ運転席、啓吾。


啓吾   :「(叫び)おい、彩香! お前と知り合ってっから、こんなのばっかだぞ!」


       トッポ助手席、彩香。


彩香   :「(叫び)あたし、啓吾さんの事、忘れない! 何があったって! おばあさんになったって、絶対に忘れない!」


       JR総武線を越えて外苑に入るトッポ。


       走るトッポ、正面から。左右のドアが開く。


啓吾   :「(叫ぶ)いいな! 『1、2の3』だからな!」


       トッポ、助手席側、彩香が身を乗り出す。風に髪がなびく。


啓吾   :「行くぞー! 1、2の」


       走るトッポ、正面から。


啓吾   :「3!」


       二人、トッポから飛び降りる。

       走るトッポ、後ろ姿。そのままフェンスに突っ込む。横転して爆発、炎上する。

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