第7話 対決の夜(8/12)

■シーン9■ 秩父、三峰神社


       山の中の駐車場。トッポが入って来て停車する。

       啓吾と彩香、トッポを下りる。トビの声。


彩香   : 辺りを見回して、

      「ここ‥‥、何ですか?」

啓吾   : 彩香に振り返って、

      「来れば分かる」

       背を向けて歩き出す。

彩香   : 少し頬を膨らませて啓吾に続く。


       背景は、山また山。


       広い整備された参道を歩く啓吾と彩香。トビの声。

       石段を登る啓吾と彩香。巨大な山門が現れる。


彩香   :「うわぁ‥‥!」


       山門をくぐる二人。


彩香   : 周囲を見回し驚いた様子で、

      「こんな山奥に、こんなすごい神社があるんですか!?」


       歩く二人。先に、極彩色に彩られた拝殿が現れる。


      (画面と台詞は関係なく)

啓吾   :「修験道なんだろうなあ、元はきっと」

彩香   :「修験道?」


       拝殿の前で手を合わせる二人。


       ポーズを取る彩香、カメラを構える啓吾。

       啓吾が手を振り、彩香の位置をずらす。シャッターを切る。

       彩香が駈け戻って来て、カメラを取る。


      (画面と台詞は関係なく)

啓吾   :「昔は、学問でも修行でも、人里を離れて、こういう山奥でやったんだよ」


       売店でうどんをすする二人。彩香が、指で、啓吾の口元に散った汁を拭う。


      (画面と台詞は関係なく)

啓吾   :「今の俺達は恵まれ過ぎかもな。彩香の世界ではどうだ?」


       山道を歩く二人。風が木々の間を渡って行く。


       奥宮遥拝殿に出る二人。


彩香   :「うわあ!」


       遥拝殿からの眺望。はるかに緑の山並みが広がる。


彩香   :「(うっとりと)綺麗‥‥」


       彩香、景色に見とれて立つ。


啓吾   : 一角を指し示し、

      「ほら、あそこ」

彩香   :「え?」


       谷間に白い雲が浮かぶ。


啓吾   : 腰を曲げて彩香に顔を寄せて、

      「ここまで来れば、雲だって足の下さ」

       腰を伸ばす。


       彩香、啓吾に振り返る。もう一度、笑顔で谷間を見下ろす。


彩香   :「でも、あたし達の第3天上界は、もっとずっと高い所にあるんですよ」

       顔を上げる。

      「地上の空気の届かない、ずっとずーっと高い世界」


       空。どこまでも高く晴れ渡る。


彩香   :「何してたのかなあ‥‥、あたしはそこで」


       彩香、後ろ姿。空を見つめ続けている。


       彩香の背後に立つ啓吾、彩香の後ろ姿を見つめ続ける。

       指でちょっと鼻の下をこすり、照れた様に目を逸らす。

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