第7話 対決の夜(4/12)

■シーン6■ 若林の啓吾のアパート

*シーン6-1* 啓吾のアパート


       上がり框。投げ出された上着。


       ダイニング。テーブルに鞄。


       6畳間。寝転がる啓吾の足が見える。


       寝転がる啓吾。天上を見つめている。

       部屋に明かりはなく、暗い。

       ふいに、電話の呼び出し音が鳴る。

       啓吾、体を起こす。


       ダイニング。啓吾、受話器を取る。


啓吾   : 「土門です」

       呼び出し音が鳴り続ける。

       すぐに受話器を戻す。


       上がり框。啓吾の足が近づいて来て上着を取り上げる。


啓吾   : 「誰だよ、携帯に‥‥」


       啓吾、上着の内ポケットから携帯電話を取り出す。


啓吾   : 「(やや怒鳴る)はい、土門!」

優香   : 「鳴海です」

啓吾   : 「(声を落として)優香ちゃんか‥‥」

優香   : 「啓吾君、今、どこにいるの?」

啓吾   : 「どこって、家だけど」

優香   : 「そう? まっすぐに帰ったんだ。 わたしはまた、どこかで荒れてるかと思った」

啓吾   : 「(ややいらついた様子で)何?」

優香   : 「ん? うん‥‥。彩香ちゃん、傷ついてる」

啓吾   : 「(声を落とし)分かってる」

優香   : 「そうじゃなくて‥‥。あの子、あなたにひどい事を言ったって、自分で自分の言葉に傷ついちゃってるわ」

啓吾   :  眉をひそめる。

      「あ!? 何それ?」

       体の向きを変える。戸棚にもたれて、

      「つまらない事気にしてないで、早く休めって言ってくれる?」

優香   : 「オーケー。そう言っておく。ねえ、啓吾君っておかしな人よね?」

啓吾   :  再び眉をひそめる。

優香   : 「天女の彩香ちゃんはまだ分かるけど、啓吾君もよっぽど浮き世離れしているわ。いいコンビよ」

啓吾   :  怪訝な顔で、

      「からかってるの?」

優香   : 「からかってなんかいないわ。ただ、彩香ちゃんを救えるのは啓吾君だけだって事」

啓吾   :  苦い顔で、

      「俺に、これ以上何が出来る?」

優香   : 「出来るわ!」



*シーン6-2* 優香のマンション


優香   : 「逃げないで、彩香ちゃんから」



*シーン6-3* 啓吾のアパート


       啓吾、苦い顔で携帯を耳に当て続ける。

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