第6話 あなたを守りたいから(13/14)

       火竜大、アップ。


火竜大  :「貴様とは、思いもよらず長い付き合いになった。が、それもこれで終わりだ。これが最後だ!」

       火炎球を吐き出す。


       啓吾、正面から。思わず右手を開いて前に差し出す。

       火炎球が炸裂する。画面が炎で包まれる。


       見つめる火竜大。


       地下広場。炎の中に輝点がきらめく。


       火竜、いぶかしむ。


火竜大  :「むっ!」


       地下広場。炎の中に、輝点が九耀の文様を形成する。


       啓吾、左から。半身を踏み出し右手で火炎球を受け止める。


       啓吾の右手、アップ。

       火炎球と掌の間にバリアの様な光が走る。

       掌の向こうで火炎球が爆発する。


       地下広場を埋めた炎が消え、九耀の光が残る。爆煙が消えて啓吾の姿が現れる。

       啓吾、自分の掌を驚いて見る。九耀の光が消える。


       火竜大、右目を見開く。


火竜大  :「(叫ぶ)地上人の分際でしゃれたマネをする!!」


       背後のコスモス青山ビルの2階部分が崩れて、火竜小が飛び出す。


       振り仰ぐ啓吾。火竜小が襲いかかる。啓吾、身をかわす。


       啓吾、自分から路面に転げて、鉄筋を拾い上げる。

       火竜小が飛び掛かる。


       啓吾、半身を開いて鉄筋を擦り上げる。


       鉄筋が、火竜小の下顎を打つ。


火竜小  :「ギャッ!」

       のけぞり、壁に叩きつけられる。


       啓吾、街路樹を飛び越え、彩香の許まで走る。


       啓吾、彩香を肩に担ぎ上げる。

       振り返る。


       火竜大、アップ。


火竜大  :「逃がすか、ドモンケーゴ!」

       ズームアウト。

       階段の中段踊り場まで舞い降りる。大口を開く。

      「ギャアアアアア!」


       啓吾、彩香を担いだままジャンプする。

       火竜大の頭上を越え、建物2階分の高さを跳躍する。


火竜大  : 振り仰ぎ、「グオッ!?」


       啓吾、階段の最上部に着地するや駆け出す。



■シーン40■ 青山通り


       青山通りに出る啓吾。


       青山通り。

       渋谷側に火竜小が着地する。音はほどんどなし。

       画面、青山学院大学を映して左にパン。

       表参道側に火竜大が着地する。ズン! という音。路面に亀裂が走る。


       啓吾、向きを変え、数歩下がって青山学院大学側の歩道まで移ると、歩道の植え込みの脇に彩香を降ろし、鉄筋を八双に構える。


       渋谷側。火竜小、翼、腕、口を広げる。


火竜小  :「ギャー!」


       画面、国連大学ビルを映して右にパン。

       表参道側。火竜大、左爪を振り上げる。


火竜大  :「グルルルル!」


       啓吾、八双に構えて咆哮する。


啓吾   :「うりゃあああああ!」


       啓吾、後ろ姿。火竜大に打ちかかる。

       火竜大、舞い上がる。


       火竜小、正面から。襲いかかる。


火竜小  :「ギャーッ!」


       啓吾、後ろ姿。振り返り、力を矯めて鉄筋を横一線に振るう。


       火竜小、顔アップ。両眼が光る。ズームアウト。羽ばたく。


       火竜小、すれすれで空中静止して鉄筋をかわすと、空振った啓吾の右腕に咬みつく。


啓吾   :「うわっ!」


       啓吾の手から鉄筋が落ちる。乾いた音が響く。

       啓吾、自分から路面に転げる。火竜小の頭を路面に叩きつける。


火竜小  :「ギャッ!」

       啓吾の右腕から口を離す。


       啓吾、身を起こし火竜小の腹を蹴り飛ばす。

       啓吾の背後から、火竜大の左爪が襲う。

       啓吾、振り返る。両手を前に突き出す。

       啓吾の両手が、火竜大の左手首を受け止める。

       火竜大、大口を開けて襲いかかる。

       啓吾、アップからズームアウト。左手を放す。

       啓吾の左手が火竜大の鼻先の角を掴む。

       角がスパークを放つ。

       四つに組んだ火竜大と啓吾。啓吾の体に電流が走る。


啓吾   :「うわっ!」

       体をのけぞらせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る