第6話 あなたを守りたいから(11/14)

■シーン35■ 空中戦


       炎に包まれる赤坂界隈。

       火竜、更に火炎球を吐く。

       数発の光弾が火竜を襲う。内数発が命中する。


火竜   :「ギャッ!?」

       体を折って落下する。


       彩香、鶴翼を広げ、『九耀の腕輪』を前にかざして急降下して来る。


彩香   :「火竜! あたしはここよ!」


       火竜、ビルの谷間から羽ばたきしながら上昇して来る。上空から俯瞰、正面からの構図。


火竜   :「ギャー!」

       火炎球を吐き出す。


       彩香、腕輪から光弾を撃ち出す。


       光弾と火炎球。正面からぶつかると、光弾が火炎球を蹴散らしてそのまま直進し、火竜の顔面を直撃する。


火竜   :「ギャッ!」

       弾き飛ばされて落下する。


       彩香、大きく上昇して空中旋回する。


       火竜、地上の自動車と自動車の間、地面すれすれで再上昇する。風が巻き、看板が吹き飛ぶ。街灯が落ちて、車が爆発する。


       火竜、急上昇しながら火炎球を吐き出す。


火竜   :「ギャ!」


       彩香、体を90度傾け急降下する。火炎球をすり抜ける。


       火竜、急上昇から降下に移る。


       彩香、アップ。後ろを向いて、


彩香   :「そう来なくっちゃ! このまま海まで!」

       ズームアウト。羽ばたきをして上昇する。


       彩香、ビルの海の上を、鶴翼をいっぱいに広げて滑るように飛ぶ。時々羽ばたく。


       火竜、正面から。盛んに羽ばたく。奇声を上げる。


火竜   :「ギャー! ギャー!」


       赤坂から浜松町方面へ向かう。

       画面左側奥に東京タワー。


       彩香、アップ。強い向かい風の中。


彩香   :「く、苦しい‥‥。でも、もう少し」


       行く手に竹芝の海が見える。右手にレインボーブリッジ。


       彩香、アップ。降下姿勢。首を曲げて後方を見る。


       火竜、遠景、正面から。必死で羽ばたいて彩香を追う。


彩香   :「火竜、小さい? ‥‥それに、右腕?」


       火竜、右半身アップ。右腕の肘から下が健在。

       両目がある。


       彩香、不得要領な表情で顔を前に向け、愕然とする。


       前方、ベイサイドホテル『アジュール竹芝』の21階建てビルの陰から火竜が現れる。片目、片腕、前と同じ大きさ。


彩香   :「火竜!!」


       片目の火竜大、アップ。咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」(咆哮が長い)


       竹芝埠頭、真上から俯瞰。強い擦過音。

       白い羽毛が4、5枚散る。

       景色が180度転回する。


       火竜大、横顔アップ。咆哮する。


火竜大  :「ギャアアアアア!」

       その陰から火竜小が現れる。

火竜小  :「ギャー! ギャー!」


       彩香、火竜大の両足の爪に挟まれてもがく。


彩香   :「(叫ぶ)火竜! 分裂したの!?」

       もがく。よじる。足をばたつかせる。


       増上寺の上を飛ぶ火竜大、火竜小。後ろ姿。右手に東京タワー。


火竜大  :「ギャアアアアア!」



■シーン36■ 渋谷、神宮前、地下広場


       白いタイル張りの街路、同色の壁。

       彩香、投げ出されて転がり壁にぶつかる。


彩香   :「あっ!」


       彩香、身を起こし『九耀の腕輪』を構える。


       『九耀の腕輪』アップ。石は残り五つ。光を放ち「帝釈」の文字が浮かび上がる。


       火竜大、アップ。


火竜大  :「あわてるな! 喰いはしないから、安心しろ!」


       彩香、怪訝な表情で火竜を見上げる。


       火竜大、アップ。


火竜大  :「また、『九耀』の石を破裂されては敵わんからな。ただし、飛べなくはなってもらうぞ、ヒヨコ天女!」


       黒いバックに白い羽根と赤い血潮が飛び散る。


彩香   :「(声のみ)きゃああ!」

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