第6話 あなたを守りたいから(3/14)

■シーン6■ 月曜日、成田空港


       啓吾、右からアップ。


啓吾   :「遅れる? どれくらい?」

茉莉   :「それがよく分からないのよ。困ったなあ。私、現地に連絡入れておくわ。啓吾、会社に知らせてくれる?」

啓吾   :「分かった」


       茉莉、離れて歩き出す。

       啓吾、携帯電話を取り出す。

       二人の動きに合わせてズームアウト。


アナウンス:「出発便、欠航のお知らせを致します。成田14時発‥‥」



■シーン7■ 日曜日、三軒茶屋

*シーン7-1* 三軒茶屋、街路


       夕暮れ時、黒い雲から雨が落ちて来る。稲妻が走る。


       啓吾と彩香、街を走る。

       啓吾、左手に彩香の傘、右手で彩香を抱える様にして。

       激しい雨音、稲光、続けて雷鳴。



*シーン7-2* 三軒茶屋、マンション入口ポーチ


       マンションのポーチに駈け込む二人。


啓吾   :「うわうわ! さんざんだ!」

       傘をたたむ。

彩香   : 空を見、啓吾の方を見て、

      「ね! やっぱり降ったでしょう?」

啓吾   :「(顔を巡らして)え!?」

彩香   :「(嬉しそうに空を見て)時間までほぼぴったり!」

啓吾   :「(ややうんざりした顔で)お前、変わってるな?」

彩香   :「(驚いた様に啓吾に振り返って)そうですか?」

啓吾   :「変わってる」


       強い稲光。

       二人、空を見る。

       激しい雷鳴。

       彩香、目を丸くして肩をすくめる。いかにも楽しげ。

       啓吾、眉根に皺をよせて肩をすくめる。彩香を見る。

       彩香、しばし空を見上げたまま。やがて、満足したように踵を返してマンションに入って行く。

       啓吾、首を傾げながら彩香に続く。



*シーン7-3* 三軒茶屋、マンション室内


       人気のないマンションの部屋。

       ドアを開けて、彩香が入って来る。靴を脱いで奥に走り込む。

       部屋に明りが灯る。

       啓吾、もそもそと入って来る。

       彩香、バスタオルを手に戻って来ると、啓吾の髪を拭こうとする。


啓吾   :「(彩香を制して)ああ、いいよ、いいよ。自分でやるから。お前、濡れたものを着替えちまえ」

彩香   :「はい」

       ヤカンを火にかけると、再び奥に走って行く。


       啓吾、タオルでざっと体を拭くと、靴を脱いで部屋に上がる。


啓吾   :「(誰にともなく)お邪魔ー」


       啓吾、タオルで頭髪を拭きながら部屋を歩く。

       立ち止まる。


       冷蔵庫のドアにホワイトボード


       ボードの書き込み:

       「日 :ユ

        月 :ア

        火 :ユ

        水 :ア

        木 :ユ

        金 :ア

        土 :翔が料理」

       (土曜日の項だけ○で囲ってある)


       土曜日の項、アップ。


       啓吾、軽く吹き出す。


       窓の前に啓吾。窓の外が雷光で明るくなる。


       啓吾、室内に振り向いて、


啓吾   :「優香ちゃん達、(雷鳴がかき消す)‥‥だなあ!」


       扉が開いて彩香が顔を出す。下着姿。


彩香   :「え? 何ですか?」

       すぐには啓吾の居場所が分からず部屋を見回す。


       啓吾、窓の前。両手を腰、怖い顔で、


啓吾   :「お前な、子供じゃないなら、そういう格好で男の前に出て来ない!」


       彩香、啓吾を見つけてクスリと笑い、肩をすくめる。部屋に引っ込む。



*シーン7-4* 彩香の私室


       彩香、鏡の前で、髪をいつも後ろで束ねている白いリボンが濡れたのではずす。


彩香   :「優香さん達は、今日は食べて来るって言ってましたよ。遅くなるそうです。啓吾さん、お食事して行かれるでしょう?」

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