第5話 過ぎ行く夏の日(9/13)

■シーン19■ 日山食品東京第二事業所、オフィス


       山田所長、所員を前に、


山田所長 :「君達も既に新聞、テレビなどで見た事と思うが、我が社は、キャンベラ航空と国際線機内食業務で提携する事になった」


       整列する啓吾たち所員一同。


山田所長 :「この分野では、国内航空3社が大日食堂に握られ他社は進出する機会のないままに来た訳だが、このキャンベラ航空との提携がうまく行けば、我が社のこの分野でのシェア獲得も夢ではない訳だ」


       所員を前に山田所長、歩きながら


山田所長 :「特に、オーストラリア航路は、2年後のシドニーオリンピックを控えて成長を見込める路線であり、その意味でも、我が社の将来を担う案件と言える。

       この案件は、本社事業推進部と牛久工場商品開発部が進めて来た業務で、将来的には独立した事業部が担当して行く事になるが、移行期間として、事業推進部と各事業所営業部精鋭による混成チームで本調印と試験運用の開始に当たる事になる」


       山田所長


山田所長 :「そこで、この東京第二事業所からは、(立ち止まって)まず、栄田」


       所員の列。栄田、周囲の者が左右に分かれて画面に入る。


栄田   :「はい!」


       山田所長


山田所長 :「それに、土門!」


       啓吾を中心に所員一同


啓吾   :「(驚く)えっ!?」

周囲   :「(どよめき)おー!」


       山田所長、所員らを見回して、


山田所長 :「この2名にチームに参加してもらう。2人は、現在抱えている案件を今週中に引き継ぐ様に」


       啓吾、翔たちに小突き回される。


翔    :「ヤリー! 啓吾!」

若手所員 :「この頃成績上げてたもんな!」


       啓吾、栄田の前に出る。


啓吾   :「(上気して)栄田さん。あの、よろしくお願いします!」

栄田   :「(啓吾の肩を叩いて)おう! 頑張れよ!」

山田所長 :「それと、二人は午後からの本社ミーティングに出るように!」



■シーン20■ 日山食品東京第二事業所、階段踊り場

*シーン20-1* 階段踊り場


       階段を駆け下りて来る啓吾。


       彩香が、脇の部屋から現れる。


彩香   :「啓吾さん!」

啓吾   : 立ち止まり、

      「おー! 来たな!」

彩香   :「はい!」


       彩香も、通路に出て来る。


啓吾   :「で、どうだよ?」

彩香   :「(クスクス笑い)丁寧に教わってます。あの‥‥」

啓吾   :「ん? 何?」

彩香     彩香、小首を傾げて、深刻な顔。

     :「あたし、似た様な事を前にやっていた気がするんです」

啓吾   :「似たような事?」

       ニヤッと笑って、

      「ははーん、分かった」

彩香   : けげんな顔

啓吾   :「お前、トラ皮のビキニ着て、雲の上で雷を起こしてたろう?」

彩香   : 考える顔

      「トラ皮のビキニで雷‥‥?」



*シーン20-2* 妄想


       彩香、トラ皮のビキニスタイル。頭に角二本。目にアイシャドウ。足にもトラ皮ブーツ。*4



*シーン20-3* 再び、階段踊り場


       彩香、激怒。背後に雷が落ちる。


彩香   :「何ですか、それはー!!」

啓吾   :「ははは! (後ずさりしつつ)ちょっと本社に行くけど、お前、帰り送るから待ってろ!」

       走り出す。


       啓吾、階段を下りかけて、振り返って、


啓吾   :「判ったな!? 待ってろよ!」

       駆け下りて行く。


       彩香、憤々。


彩香   :「んもーお! 天女を何だと思ってるのよ! 知らない!」


       彩香、背をむけて、室内に戻りかける。

       立ち止まる。

       表情が固まる。



*シーン20-4* カットイン


       「キーン」という金属音。

       天上界らしき情景。



*シーン20-5* 階段踊り場


       彩香、振り返る。

       血の気が失せ、怯えた表情。



*シーン20-6* 回想、第3話シーン4。


啓吾   :「何かあったら、遠慮なく言えよ」



*シーン20-7* 階段踊り場


       彩香、あわてて首を横に振る。


彩香   :「言えない! 啓吾さんだって、きっと変に思う!」

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