第4話 コンビネーション(13/14)

■シーン28■ 首都高速


       警官隊、パトカーや白バイの陰から発砲する。


       火竜、火炎球を吐き出す。


       パトカーが爆発し、警官達、吹き飛ばされる。


警官達  :「うわー!」


       火竜、正面から。右腕は肘から下が失われ、体には銃弾を受け、あちこちから小さな電気スパークを飛ばしている。


火竜   :「グルル‥‥。手間を掛けさせやがる」

       ゆっくりと歩く。


       路上の彩香、倒れたまま動かない。火竜の陰がかかる。


火竜   :「よくもやってくれたな、ヒヨコ天女。はらわたから引き裂いてやろうか、手足から千切ってやろうか?」

       左腕を振り上げる。


       木刀が回転しながら宙を飛ぶ。


啓吾の声 :「ブーメラン!」


       木刀が火竜の左手首を打つ。

       火竜、顔を上げて、


火竜   :「ギャッ! 誰だ!?」


       闇に浮かぶシルエット。


啓吾   :「実体を見せずに忍び寄る黒い影」*2


       啓吾、光の中へ。


啓吾   :「土門啓吾、だよ」


       火竜。


火竜   :「現れたな、邪魔な奴!」


       啓吾、アップ。


啓吾   :「そりゃ、こっちのセリフだ。交通の障害は排除するぜ!」

       キスリングから木刀(鉄芯カーボングラファイト製)を抜き放ち、八双に構えて殺到する。画面左手前に動く。


       火竜、啓吾の動きを右目で追おうとする。目を細める。


       啓吾、木刀を右肩に担ぐ様にして八双で迫る。

       画面左手前に走る。


啓吾   :「でやああああぁ!」

       画面左手に抜ける。


       火竜、右目で相手を捉えようと首を左に回して、


火竜   :「どこだ、ドモンケーゴ?」


       夜空。


啓吾   :「(声のみ)こっちだ!」


       照明灯を背に、木刀を打ち降ろす啓吾


       火竜、右に振り返るや、路上を転げてかわす。

       身を起こし、左爪を摺り上げる。


火竜   :「ギャアアア!」


       かわす啓吾。上体をのけぞらす。

       火竜、踏み込みつつ更に左爪を振り降ろす。


火竜   :「ギャアアア!」


       啓吾、木刀で火竜の爪を受けて弾き返す。

       火竜、更に踏み込み左爪を振り降ろす。

       啓吾、木刀で火竜の爪を受け止める。

       鍔競り合いになる。

       火竜、全体重を乗せて、啓吾を押し潰そうとして来る。


火竜   :「ギイイイイッ!」


       歯を食いしばる啓吾。


啓吾   :「ぐぐぐぐ!」

       不意に左足を引く。体を斜にして力を受け流す。


       火竜、もんどりを打って転げる。


火竜   :「グワッ?」


       啓吾の体が殺到する。


啓吾   :「うりゃああっ!」


       火竜、啓吾の木刀を左爪で受ける。

       啓吾、更に打ち込む。

       火竜、啓吾の打ち込みを左へ流し、啓吾の左脇を抜けて逃れようとする。

       啓吾、右手で木刀を真っ直ぐに突き出す。


啓吾   :「でやっ!」


       木刀の先端が、火竜の左頬を突く。


火竜   :「ギャッ!」


       火竜、突き飛ばされて車の群れに突っ込む。振り仰ぐ。


       火竜へと殺到する啓吾。

       木刀が変化する。八双から上段に振り上げられる。

       啓吾、木刀を右袈裟に打ち降ろす。


啓吾   :「小手ーっ!」


       木刀が、火竜の肘下が失われた右腕の上腕部を打ち据える。

       吹き飛ぶ火竜。


火竜   :「(悲鳴)ギャアアー!」

       右腕を押さえて路上をのたうちまわる。

       必死で立ち上がると、翼を広げて舞い上がる。


       夜空を飛び去る火竜。


火竜   :「このままで済むと思うな、ドモンケーゴ!」


       路上に立つ啓吾、火竜を見送って一呼吸。


       翔、路肩に座り込んで呆然。


啓吾   :「(声のみ)おい、翔!」


       同じく優香。


啓吾   :「(声のみ)優香ちゃん!」


       地面に倒れ伏した彩香。


啓吾   :「(声のみ)おい、彩香!」


       彩香の『九耀の腕輪』アップ。石が4つ失われて、残り5つになっている。

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