第4話 コンビネーション(6/14)

■シーン10■ バーベキュー


       日が暮れて、焚き火の明かりが優香を照らし出す。


優香   :「みんな、グラス持った? それでは、今日はどうもお疲れ様です。短い間ですけど楽しんで、夏を乗り切りましょう。では、かんぱーい!」


       社員達


一同   :「カンパーイ」


       彩香、小学生の女の子、中学生の男の子とジュースで乾杯。


       優香、焚き火の前で、


優香   :「じゃ、レイちゃん、肉とかバンバン焼いちゃって」

男子社員1:「幹事ー!」

優香   : 振り返る。「え?」

男子社員1:「特別ゲストを、ちゃんと紹介してよ」

男子社員2:「そうそう。僕は車が違ったから、話してないんだ」

優香   : やや弱った風情で髪を掻いて、

      「はいはい!」

       彩香を手招き

彩香   :「え!?」

       困った様子で、前に出て行く。

優香   : 彩香を紹介して、

      「こちらが、今回のゲストの彩香ちゃんです。事情は、みんなもう御存知と思いますけど、5月からうちで同居してます。怪我が直ったんで今回誘ったんだけど、まだ完治という訳でもないんで、みんな、いたわってあげて下さい。(彩香を見て)んじゃ、彩香ちゃん」

彩香   :「(優香を見て困った様子で)え!? (足元を見て)あの‥‥、彩香です。よろしくお願いします(頭を下げる)」

男子社員1:「(手を挙げて)はい、はい、しつもーん」

彩香   :「(ぎょっとして)え!?」

優香   :「事故についての質問は駄目よ。恐がらせる様な質問も駄目!」

男子社員1:「ちぇ‥‥」

女子社員1:「(手を挙げて)なら、わたし! 土門君に助けられたんでしょう?」

彩香   :「はい」

女子社員1:「土門君の事、どう思いますか?」

女子社員2:「(笑)やだ、何聞いてんの?」

彩香   :「え!? 啓吾さんの事、ですか?」

女子社員1:「そうそう」

彩香   :「(気恥ずかしげに)感謝してます」

女子社員3:「それだけー?」

彩香   :「え!?」

       ますます顔を伏せて、

      「強くて、優しくって‥‥」

       ふと、顔を上げる。


       社員達の間に啓吾、茉莉と並んでいる。


彩香   : ふと、寂しげな表情になる。

      「(力なく)お父さんみたい‥‥、かな?」

年配の社員:「何だ、土門はオヤジか?」

社員達  : 爆笑


       啓吾と茉莉


啓吾   :「(苦笑)こんなデケえガキ持った憶えねーやい」


       彩香、笑いが広がる中、一人寂しげに目を逸らす。

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