第3話 彩香、絶体絶命(11/13)

       巨大な光球が火竜を跳ね飛ばす。


火竜   :「グワッ!!」


       火竜、背中から店舗に激突する。

       店舗を崩して仰向けに倒れ込む。


火竜   : 立ち上がろうとして、

      「クッ! 目が開かん! どこだ、ヒヨコ天女!?」


       路上に啓吾。手に消火器。


啓吾   :「火竜! こっちだ!」


       火竜、声のする方へ襲いかかる。


火竜   :「ガアアアア!」


       啓吾、十分に引き付けて消火器を噴射する。


       火竜、まともに消火剤を浴びる。


火竜   :「グワッ! な、なんだ、これは!?」

啓吾   :「お前の嫌いな第3物質だよ」

火竜   :「その声は "ドモンケーゴ" だな。どこだ!?」

       闇雲に襲いかかる。

       右爪を振り回す。

啓吾   : 後退しつつかわす。

      「おーっ? こっちだ!」

       消火器をさらに噴霧する。

火竜   : 右爪を振り回す。

啓吾   :「ほれ、こっちだ!」

火竜   : さらに右爪を振り回す。

啓吾   : さらに後退しつつかわす。消火器を前に放り投げつつ、自らは、店舗の前に立ち、

      「こっちだ!」


火竜   : まっすぐに突進する。

      「ギャアアアア!」


       啓吾、右へ飛びのく。

       火竜、まっすぐに店舗の壁へ突っ込む。コンクリートとガラスの壁を突き破る。


火竜   :「グアッ!!」


       火竜の頭上に、陳列棚や瓦礫が崩れ落ちる。


       啓吾、しばし様子を見る。


       火竜、瓦礫から身を起こす。首を左右に振る。


火竜   :「ぐwううううう‥‥」


       火竜、アップ。右目を開く。


       火竜、振り返り、


火竜   :「見えたぞ、ドモンケーゴ!」

       跳躍する。


       啓吾、背中のキスリングから木刀を引き抜き中段に構える。剣先をセキレイの尾の様に上下に震わす。

       前へ踏み込み、剣先で弧を描く。


       襲いかかる火竜。

       啓吾、木刀で火竜の右爪を受ける。

       ガッ、と音を立てて木刀と火竜の爪がぶつかり合う。


啓吾   : 膂力で火竜の体重を支えて、

      「鉄芯カーボングラファイトの木刀だ。そう簡単には折れないぜ!」

       火竜を突き放し、横面を打つ。

      「メーン!」

火竜   :「ギャッ!」


       着地する火竜。啓吾の体が殺到する。


啓吾   : 左上段より、「メン!」

火竜   : 右爪で受けて後退する。

啓吾   : 右上段より、「メン!」

火竜   : 避けて後退する。

啓吾   : 左上段より、「メーン!」

火竜   : 舞い上がる。


       啓吾、空振って瓦礫を打つ。

       木刀が瓦礫に挟まる。

       啓吾、あわてる。木刀が瓦礫に挟まって抜けない。片足を瓦礫にかけて、両手で木刀を引き抜こうとする。抜けない。


       火竜、啓吾の様子を見る。

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