第3話 彩香、絶体絶命(10/13)

■シーン23■  ショッピングモール


       彩香、吹き飛ばされて、ショッピングモールに転げ込む。

       身を起こして、逃げる。

       火竜も、ショッピングモールに躍り込む。


火竜   :「(彩香を探して首を左右に振り)ギャアアア!」


人々   :「きゃああああ!!」

       逃げ惑う。


       火竜、火炎球を吐き出す。

       店舗に着弾する。


人々   :「うわああああ!!」

       逃げる。


       彩香、周囲を目で追う。

       火竜の火炎球が、水平に走り抜け、店舗に着弾する。

       

       彩香、店舗の間を駆ける。


       火竜、ショッピングモールを、人を押しのけながら進む。


火竜   :「ギャアア!」

人々   :「わあああ!!」


       彩香、天井を見上げる。

       翼を広げて、二階通路に舞い上がる。

       だが、きりもみして画面左方へ流れる。


彩香   :「キャッ!」


火竜   :「(彩香を見つけて)ギャオアア!」


       火竜、彩香に襲いかかるが、彩香が急に逸れたたために、二階通路に着地する。


二階の人々:「うわっ! わああああ!」

       逃げる。


火竜   : 振り返り、

      「このヒヨコ天女がチョコマカと!」

       火炎球を吐く。


彩香   :「(アップ。真顔で)まっすぐに飛べない!?」


       彩香、1階通路に転げる。

       火炎球が至近で炸裂して、ギブスをした右腕で頭を抱えて爆圧をやり過ごす。


       火竜、2階通路から飛び降りる。

       店舗の梁に着地しようとして、梁が崩れ、商品棚ごと倒れる。


火竜   :「ギャお!?」


       彩香、振り返って火竜を見る。

       再び舞い上がるが、バランスを失って画面左に流れる。

       右腕から壁に激突する。悲鳴を上げる。


彩香   :「きゃあ!」


       彩香、床に転げる。右腕を押さえてのたうつ。


       ショッピングモール中心の噴水広場、ビーナス像を背景に彩香。

       人々は逃げてしまっている。

       彩香、目を上げて、火竜を見る。


       火竜、天井に描かれた星空を背景に立つ。

       彩香の様子を見て、ニヤリとする。


火竜   :「そうか、羽衣がなくてまともに飛べないのか!」


       彩香、火竜の様子をうかがいつつ、左右に逃げ道を探す。


火竜   :「それでは、これでどうだ!?」

       火炎球を吐き出す。


       画面左方の壁に火炎球が当たり、彩香、画面右方に転げて逃げる。


彩香   :「きゃ!」


       右方の壁に2発目の火炎球が当たり、彩香、落下物を避け前方に飛ぶ。

       その後方を落下物がふさぎ、彩香、逃げ場を失った事に気付く。


       火竜、星空の天井画を背景に、火炎球の発射体勢を取る。


火竜   :「ターゲットスコープ・オープン! 対ショック対閃光防御!」*3

       やや仰角ぎみに火炎球を発射する。


       彩香、上に逸れた火炎球を目で追う。

       その彩香の上に、上部の回廊が落下する。

彩香   :「きゃーっ!!」

       画面を瓦礫が埋める。


       ほこりの中で小さな影がバタバタと動く。


       彩香、左翼をバタつかせる。飛べずに右肩を振り返る。


       彩香の右翼の端が鉄骨に踏みつぶされている。


彩香   :「ああっ!」


火竜   : 火竜、彩香を眺めて、

      「これまでだな、ヒヨコ天女。おとなしく俺のエサに、」

       大口を開けて襲いかかる。

      「なれー!!」


彩香   : 思わず左手で頭をかばう

      「きゃああああ!」


       彩香の左手首の『九耀の腕輪』アップ。

      「帝釈」の文字が浮かび、強い輝点が浮かび上がる。画面全体が白く抜ける。

       ドン! という破裂音。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る